【信託財産の共有物分割|信託財産・受託者固有の財産の混在】

1 信託財産×共有物分割|全体
2 信託財産と受託者固有の財産×共有物分割
3 複数の委託者の信託財産×共有物分割
4 「協議がととのわない」の解釈(概要)

1 信託財産×共有物分割|全体

信託財産は形式と実質が異なる特殊な状態です。
信託財産が共有持分となっていることもあります。
信託財産に関する共有状態を解消するケースもあります。
本記事では信託財産に関する共有物分割を説明します。

2 信託財産と受託者固有の財産×共有物分割

信託財産と受託者固有の財産の共有という状況があります。
形式的名義は100%受託者の所有です。
しかし実質的には共有です。
そこで共有物分割が認められています。

<信託財産と受託者固有の財産×共有物分割>

あ 共有の状態

財産甲が次の『ア・イ』を含む
=『ア・イ』両方の共有持分がある
ア 信託財産イ 受託者固有の財産

い 共有物分割の方法

ア 信託行為で定めた方法イ 共有物分割協議 受託者と受益者で協議する
ウ 受託者が決するエ 共有物分割訴訟 『イ』の協議がととのわない場合(後記※1)に提訴できる
※信託法19条1項,2項

3 複数の委託者の信託財産×共有物分割

複数の委託者から受託を受けるというケースもよくあります。
形式的名義は100%受託者の所有です。
しかし実質は複数の共有持分が存在する状態です。
この場合も共有物分割ができます。

<複数の委託者の信託財産×共有物分割>

あ 共有の状態

財産甲が次の『ア・イ』を含む
=『ア・イ』両方の共有持分がある
ア 委託者Aの信託財産イ 委託者Bの信託財産

い 共有物分割の方法

ア 信託行為で定めた方法イ 共有物分割協議 複数の受益者で協議する
ウ 受託者が決するエ 共有物分割訴訟 『イ』の協議がととのわない場合(後記※1)に提訴できる
※信託法19条3項,4項

4 「協議がととのわない」の解釈(概要)

上記の共有物分割訴訟には形式的な要件があります。
『協議がととのわない』というものです。
信託とは関係ない一般的な共有物分割訴訟でも同様です。
この形式的要件にはいくつかの解釈論があります。
これについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|共有物分割訴訟の協議前置の要件(協議がととのわない)

共有不動産の紛争解決の実務第2版

使用方法・共有物分割の協議・訴訟から登記・税務まで

共有不動産の紛争解決の実務 第2版 弁護士・司法書士 三平聡史 著 使用方法・共有物分割の協議・訴訟から登記、税務まで 第2班では、背景にある判例、学説の考え方を追加して事例検討をより深化させるとともに、改正債権法・相続法が紛争解決に与える影響など最新の実務動向を丁寧に追録して大幅改訂増補! 共有物分割、共有物持分買取権行使、共有持分放棄、共有持分譲渡などの手続きを上手に使い分けるためこ指針を示した定番書!

実務で使用する書式、知っておくべき判例を多数収録した待望の改訂版!

  • 第2版では、背景にある判例・学説の考え方を追加して事例検討をより深化させるとともに、改正債権法・相続法が紛争解決に与える影響など最新の実務動向を丁寧に追録して大幅改訂増補!
  • 共有物分割、共有持分買取権行使、共有持分放棄、共有持分譲渡などの手続を上手に使い分けるための指針を示した定番書!
  • 他の共有者等に対する通知書・合意書、共有物分割の類型ごとの訴状、紛争当事者の関係図を多数収録しており、実務に至便!
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINE
【共有物分割訴訟の当事者(共同訴訟形態・持分移転の際の手続)】
【共有物分割訴訟の性質(形式的形成訴訟・処分権主義・弁論主義)】

関連記事

無料相談予約 受付中

0120-96-1040

受付時間 平日9:00 - 20:00