【共有物分割訴訟×現物分割回避|実務的かけひき・戦略】
1 共有物分割訴訟×現物分割回避|具体例
2 共有物分割訴訟×現物分割回避|戦略
1 共有物分割訴訟×現物分割回避|具体例
共有物分割訴訟では特有の対立状況が生じることがあります。
『現物分割』を回避するためのかけひきです。
具体的な状況をまとめます。
<共有物分割訴訟×現物分割回避|具体例(※1)>
あ 物理的状況
共有物分割訴訟の審理中である
物理的には現物分割が可能である
い 当事者の希望
当事者の希望は次の2つで対立している
ア 全面的価格賠償イ 換価分割
う 裁判官の心証開示
裁判官が次のように心証を開示した
『全面的価格賠償については相当性が欠けます,このまま判決まで行った場合,現物分割の判決を書くことになります』
詳しくはこちら|共有物分割の分割類型の選択基準(優先順序)の全体像
え 思惑
仮に現物分割の判決となった場合
→当事者双方にとって不利益が大きい
2 共有物分割訴訟×現物分割回避|戦略
前記の状況に該当するケースは多いです。
この場合には,当事者相互の思惑からかけひきが生じます。
戦略・思惑の構造を整理します。
<共有物分割訴訟×現物分割回避|戦略>
あ 前提事情
前記※1の事情を前提とする
い 思惑
当事者双方が『現物分割』を避けたいと思っている
→相手が譲歩する可能性を推し量る状態になる
→いわゆる『チキンレース』の状況である