【有効な遺言を無効な遺言の死因贈与認定により撤回した事例】

1 有効な遺言→無効な遺言により撤回|事案
2 有効な遺言→無効な遺言により撤回|裁判所の判断

1 有効な遺言→無効な遺言により撤回|事案

有効な遺言が『無効な遺言』により撤回されたケースがあります。
実は『無効な遺言』は『死因贈与』として扱われたのです。
例外的扱いの中のさらに例外的扱いです。
裁判例の事案だけをまずは整理します。

<有効な遺言→無効な遺言により撤回|事案>

あ 先行遺言

Aは合計12通の自筆証書遺言を作成した
これを長女Y1に交付した
内容=甲不動産をY1に相続させる

い 状況変化→遺言撤回意向

その後,AはY1に対して不信感を持つようになった
Aは弁護士に相談をした
しかし先行遺言を撤回する遺言をすぐには作成しなかった

う 遺言作成

その後,Aは入院するに至った
過去の遺言を撤回する内容の遺言を作成することとなった
次のように遺言甲を作成した
この時点でAは文字を書くことが困難であった
そこで,妻Cが遺言書の大部分の文字を記入した
Aが署名指印をした
内容=財産をC・Xに相続させる
※高松高裁平成25年3月28日

2 有効な遺言→無効な遺言により撤回|裁判所の判断

前記事例についての裁判所の判断を整理します。

<有効な遺言→無効な遺言により撤回|裁判所の判断>

あ 死因贈与への転換

遺言甲は自筆証書遺言としては無効である
遺言甲は死因贈与として有効である

い 死因贈与による遺言撤回

『あ』の死因贈与により
→過去の自筆証書遺言は撤回された
※民法1023条2項
※高松高裁平成25年3月28日

弁護士法人 みずほ中央法律事務所 弁護士・司法書士 三平聡史

2021年10月発売 / 収録時間:各巻60分

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【無効な遺言を死因贈与として認める・肯定と否定の裁判例】
【無効行為の転換の理論・一般的な基本的理論と要件】

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