【無効行為の転換の理論・一般的な基本的理論と要件】
1 無効行為の転換の理論の基本
2 無効行為の転換の一般的要件
1 無効行為の転換の理論の基本
本記事では『無効行為の転換』の理論について説明します。
この理論は一般的・基本的なものです。
実務では,他の法律解釈で使われるという位置付けです。
まずは基本的事項をまとめます。
<無効行為の転換の理論の基本>
あ 原則論
無効な行為は絶対的に効力がない
特定の者の主張などは不要である
※民法119条本文参照
※我妻栄『新訂民法総論』岩波書店p338
い 例外=無効行為の転換の理論
無効の法律行為Aが他の法律行為Bの要件を備える場合
→Bの効力が生じることを認める
※我妻栄『新訂民法総論』岩波書店p391
う 典型例の類型
要式行為である法律行為Aは,様式違反により無効である
不要式行為である法律行為Bとしては有効とする
え 具体例
無効な遺言→死因贈与として有効とする
詳しくはこちら|無効な遺言を死因贈与契約として認める・典型的種類
2 無効行為の転換の一般的要件
無効行為の転換の一般的な要件をまとめます。
この要件を実際に使う典型は遺言を死因贈与として認定するケースです。
<無効行為の転換の一般的要件>
あ 基本
法律行為Aとしては無効である
→『い・う』の両方を満たす場合
→法律行為Bとしては有効と認める
い 他の法律行為の要件充足
法律行為Bの要件を満たす
う 実質的意思解釈
当事者の利益状況に照らして,次のア・イが認められる
ア 目的の同一性
法律行為A・Bの効果の社会的or経済的目的が同じである
イ 当事者の意思解釈
『当事者がAの無効を知っていたら,Bの効果を欲したであろう』と認められる
※我妻栄『新訂民法総論』岩波書店p392
2021年10月発売 / 収録時間:各巻60分
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