【出資法の『預り金』規制の『業として』の解釈論】

1 預り金の禁止の構成要件(概要)
2 『業として』の解釈論
3 他の法律における『業』の判断(概要)

1 預り金の禁止の構成要件(概要)

出資法の預り金の規制は『業として』の資金受入れが対象となります。
まずはこの規定を示しておきます。

<預り金の禁止の構成要件(概要)>

業として預り金をする
他の法律に特別の規定のある者を除く
※出資法2条1項
詳しくはこちら|出資法の『出資金・預り金』の規制の規定内容と基本的解釈

2 『業として』の解釈論

資金の受入れが『業として』かどうかが問題となるケースはとても多いです。出資法の『業として』の解釈論をまとめます。

<『業として』の解釈論>

あ 裁判例における解釈

反復継続の意思をもって預り金をすることをいう
『反復継続して預り金をする意図の下に』
※東京高裁昭和35年11月21日

い 営利目的の要否

営利の目的について
→構成要件には含まれない
=不要である
※津田実『出資の受入,預り金及び金利等の取締等に関する法律』曹時6巻7号p31

う 営利目的があるケースの扱い

営利目的がある場合
→業法による業務規制にも違反することになる
例;銀行法

え 出資金の受入制限との比較

出資金の受入制限について
→『業として』は規定自体に含まれない
※出資法1条

3 他の法律における『業』の判断(概要)

出資法以外にも,多くの業務が法律で規制されています。一般的に業法においては『業』『事業』『営業』が規制対象となっています。これらの解釈・判断基準については,裁判例や通達などがいくつかあります。しかし,個別的事案を明確に判別できないこともとても多いです。
多くの業法の『業』の判断に関しては,別に詳しく説明しています。
詳しくはこちら|業法一般|『業』解釈論|基本|反復継続意思・事業規模・不特定多数

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