【裁判上の自白・擬制自白の効果と裁判所への拘束力】

1 裁判上の自白の基本的効果
2 裁判上の自白の裁判所への拘束力

1 裁判上の自白の基本的効果

裁判上の自白や擬制自白という規定があります。どのような場合に成立するのか,については別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|裁判上の自白・擬制自白の基本(対象となる『事実』)
本記事では,裁判上の自白や擬制自白の効果について説明します。
まずは裁判上の自白の基本的な効果をまとめます。

<裁判上の自白の基本的効果>

あ 基本的な効果=不要証

裁判上の自白とみなされる
→積極的な証明を要しない
※民事訴訟法179条

い 不要証と弁論主義

裁判上の自白が成立した事実について
『事実』の種類によって裁判所の拘束力が異なる(後記※1
※兼子一ほか『条解民事訴訟法 第2版』弘文堂p951

2 裁判上の自白の裁判所への拘束力

裁判上の自白は主要事実・間接事実・補助事実の3種類すべてに成立します。
詳しくはこちら|裁判上の自白・擬制自白の基本(対象となる『事実』)
成立はしますが,その結果には違いがあります。具体的には裁判所を拘束するかどうかという点です。対象となる『事実』の種類によって拘束力は異なります。

<裁判上の自白の裁判所への拘束力(※1)

あ 主要事実

主要事実についての自白が成立した場合
→裁判所はこれに拘束される
※最高裁昭和32年12月17日

い 間接事実・補助事実

間接事実や補助事実について自白が成立した場合
→裁判所はこれに拘束されない
※秋山幹男ほか『コンメンタール民事訴訟法3』日本評論社p365

う 職権探知主義の対象

不要証の効果は弁論主義に基づくものである
→職権探知主義の行われるものには弁論主義が適用されない
→裁判所を拘束しない
※人事訴訟法19条1項
※兼子一ほか『条解民事訴訟法 第2版』弘文堂p951

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