【無線局開設の免許制度の基本(趣旨と『無線局・開設』の解釈)】
1 無線局開設の規制=免許制
2 無免許の無線局開設・運用への罰則
3 『無線局』の定義
4 無線局『開設』の解釈
5 免許を要しない無線局(概要)
1 無線局開設の規制=免許制
無線局の開設,つまり一定の電波の使用については法規制があります。
本記事では無線局開設に関する免許制の基本的事項を説明します。
まずは,免許の制度の趣旨や意義についてまとめます。
<無線局開設の規制=免許制>
あ 免許制の規定
無線局を開設について
→総務大臣の免許を受けなければならない
例外として免許が不要なケースもある(後記※1)
※電波法4条
い 免許制度の趣旨・意義
電波の衡平かつ能率的な利用を確保する
→公共の福祉を増進する
=電波法の目的の達成
※電波法1条
う 周波数の割当(概要)
免許の判断の中で周波数の割当が行われる
政策として政府がコントロールすることとされている
詳しくはこちら|電波・周波数の割当の制度(割当計画や公開原則と国際的ルール)
2 無免許の無線局開設・運用への罰則
免許制に実効性を持たせるために,違反者への罰則が規定されています。
<無免許の無線局開設・運用への罰則>
あ 罰則の対象
免許がないのに無線局を開設or運用した者
い 法定刑
ア 通常
懲役1年以下or罰金100万円以下
イ 両罰規定
業務に関する場合
→法人・事業主にも『ア』のうち罰金が課される
※電波法110条1号,114条2号
3 『無線局』の定義
開設のために免許が必要となるのは『無線局』です。この定義をまとめておきます。
<『無線局』の定義>
無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体
ただし『受信のみを目的』とするものを含まない
※電波法2条5号
4 無線局『開設』の解釈
免許が必要か不要かの判断が『開設』の解釈で変わるというケースもあります。『開設』の解釈についてまとめます。
<無線局『開設』の解釈>
あ 『無線局』の定義
無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体
ただし『受信のみを目的』とするものを含まない
※電波法2条5号
い 『開設』の解釈(基本)
次の『い〜え』のすべてに該当する場合
→無線局を開設したことになる
う 電波発射可能状態
電波を発射しうる状態にある
例;スイッチ操作1つで電波を発射できる状態
それと同等の状態も含む
え オペレーター配置
無線設備を操作する者を配置している
無線設備を操作する技術的能力のある者が配置されている
無線従事者の資格の有無は問わない
お 運用意思
ア 運用意思の内容
無線局を運用する意思がある
客観的状況から推定する
イ 運用意思の判断の具体例
自動車の運転席に無線設備を設置して車両を運行する
→特段の事情がない限り運用の意思があると判断される
※今泉至明『電波法要説』財団法人電気通信振興会p31
5 免許を要しない無線局(概要)
無線局,つまり電波を発する機器の内容によっては,免許不要というものもあります。
<免許を要しない無線局(概要;※1)>
無線局の種類・規模によって
→例外的に免許なしで開設・運用できるものがある
主に電波の強度が低いものである
詳しくはこちら|免許不要の無線局(微弱無線局の技適マークや性能証明)