【レンタルサーバー×データ消失|基本・法的責任の種類・典型争点】
1 データ消失事故|種類
2 データ消失事故×要因
3 データ消失×法的責任|種類・主要な要件
4 データ消失×法的責任|典型争点
1 データ消失事故|種類
デジタルデータが消失する事故が増えています。
当然,貴重なデータである場合は深刻な問題です。
法的責任が追及されます。
本記事ではデータ消失事故の法律問題の基本的事項を説明します。
まずは具体的な事故の種類を分類してみます。
<データ消失事故|種類>
あ オンライン
ア レンタルサーバーイ クラウドサービス
い 端末・物理的機器
個人or事業用のパソコン・サーバー
正確には,これらに内蔵される次の記憶媒体
ア HDD=Hard Disk Driveイ SSD=Solid State Drive
2 データ消失事故×要因
データ消失事故の『要因』を分類・整理します。
<データ消失事故×要因>
あ 作業中のミス|典型例
ファイルの『移動』作業において不具合が生じた
→具体的には,次の2つに該当する状態
ア 元のファイルの削除が実行されたイ 移動先への書き込みが失敗した
い 作業中のミス|要因の所在
一連の作業のフロー・マニュアル自体に『失敗の要因』がある
う ハードウェアの経年劣化
記憶媒体が経年により劣化した
→データの『読込』ができなくなった
このような要因は法的責任の判断に影響を与えます(後述)。
3 データ消失×法的責任|種類・主要な要件
データ消失事故では法的責任が生じることがあります。
まずは責任の種類と主要な要件を整理します。
<データ消失×法的責任|種類・主要な要件>
あ 不法行為による損害賠償請求
『故意or過失+違法性』が前提である
い 債務不履行による損害賠償請求
『過失』が前提である
4 データ消失×法的責任|典型争点
現実のデータ消失事故では法的責任の見解が対立することが多いです。
対立する典型的な事項をまとめます。
<データ消失×法的責任|典型争点>
あ 基本的事項
約款上の規定や認定で次の事項について見解が対立しやすい
い 約款・特約条項の有効性
消費者契約法・民法の規定により無効となることもある
次の事項について見解が対立しやすい
ア 合理性→公序良俗に反するか否かイ 『消費者』の解釈論→消費者契約法の適用の有無
う 『重過失』の認定
具体的なミスについて重過失/軽過失の判断・見解が相違する
え 『損害』算定
賠償責任のある損害の範囲
金銭的評価・算定
約款・条項の有効性については別に説明しています。
詳しくはこちら|レンタルサーバー|約款に関する事項|典型例・有効性
重過失や軽過失の認定については別に説明しています。
詳しくはこちら|データ消失事故×法的責任|過失・重過失の判断
損害の算定については別に説明しています。
詳しくはこちら|データ消失事故×損害算定|範囲・内容