【表示規約による表示基準】
1 表示基準(総論)
2 表示規約の中の表示基準の目的と趣旨
3 取引態様
4 交通の利便性(新設予定の交通機関)
5 徒歩による所要時間
6 土地・建物の面積
7 『居室』以外(納戸など)
8 建物のリフォーム・改築
9 宅地or建物の写真
10 見取図・完成図・完成予想図
11 公共・公益施設
12 商業施設
1 表示基準(総論)
公正競争規約として不動産業界の自主的ルールが規定されています。その中に広告・表示を規制する表示規約があります。
詳しくはこちら|不動産の公正競争規約(表示規制と景品規約)(全体)
本記事では,表示規約の中の『表示基準』について説明します。
2 表示規約の中の表示基準の目的と趣旨
表示基準の規定の目的や趣旨をまとめます。
<表示規約の中の表示基準の目的と趣旨>
あ 表示・表記のブレによる弊害
物件の内容・取引条件の表示について
事業者ごとに表示が異なる場合
→一般消費者が理解しにくくなる
い 表示・表記の統一の必要性
基準による表示を統一することにより
→一般消費者が容易に理解できるようになる
表示に関する基準を設定する必要がある
※表示規約15条,施行規則10条
表示基準の内容は,とても多くの事項が規定されています。以下,個々の表示基準の内容について紹介します。
3 取引態様
<取引態様>
次の用語を用いて表示する
『売主』『貸主』『代理』『媒介(仲介)』
※施行規則10条(1)
4 交通の利便性(新設予定の交通機関)
<交通の利便性(新設予定の交通機関)>
新設予定の交通機関について
例;鉄道・都市モノレールの駅,路面電車・バスの停留所
路線の運行主体が公表したものに限る
公表された新設予定時期を明示して表示する
※施行規則10条(5)
5 徒歩による所要時間
<徒歩による所要時間>
あ 具体的な表示の例
物件の所在地の説明として
→『駅まで徒歩10分』
い 公正競争規約のルール
ア 分速
道路距離を元に分速80メートルして算出する
1分未満の端数は切り上げる
イ 他の事情の排除
次の事情は考慮しなくてよい
信号の待ち時間・坂道などによる加算
※施行規則10条(10)
『実際の道のりと食い違う』というトラブルが生じがちです。一方,人によって歩く早さに違いがあります。そこで,歩く速さなどを基準にして表示(計算)方法を統一しているのです。
6 土地・建物の面積
<土地・建物の面積>
あ 共通事項
メートル法により表示する
い 土地の面積
水平投影面積で表示する
う 建物の面積
建物の面積・マンションの専有面積について
延べ面積を表示する
え イレギュラー面積の明示
通常のスペース以外の面積を含む場合
例;車庫,地下室など
→その旨+その面積を明示する
お 中古マンションの特例
建物登記に記載された面積を表示することができる
※施行規則10条(13)〜(15)
か 表示の例
面積200㎡(地下車庫30㎡を含む)
7 『居室』以外(納戸など)
<『居室』以外(納戸など)>
あ 『居室』以外の表示
建築基準法上『居室』として認められない部分について
→『納戸』などと表示する
※施行規則10条(17)
い 表示の例
3LDK+納戸
8 建物のリフォーム・改築
<建物のリフォーム・改築>
あ リフォーム・改築の表示
リフォーム・改築をしたことを表示する場合
→工事の内容+時期を明示する
※施行規則10条(21)
い 表示の例
平成28年12月リフォーム済(外壁,クロス張替,畳替え)
9 宅地or建物の写真
<宅地or建物の写真>
あ 原則
取引対象(現物)の写真を用いる
い 例外=他の建物の写真
次のような事情がある場合
例;建物が建築工事の完了前である
→他の建物の写真を用いることができる
『他の建物の写真である』旨を明示する
※施行規則10条(22)
10 見取図・完成図・完成予想図
<見取図・完成図・完成予想図>
あ 図面の表示
宅地or建物の見取図・完成図・完成予想図について
→その旨を明示する
い 周囲の状況の表示
周囲の状況について
→現況に反する表示をしてはならない
※施行規則10条(23)
11 公共・公益施設
<公共・公益施設>
あ 基本的基準
物件の周辺の公共・公益施設について
例;学校,病院,官公署,公園など
現に利用できるものに限る
物件までの道路距離+施設の名称を明示する
い 公立学校・官公署
パンフレットを除き,表示の省略ができる
※施行規則10条(29)
12 商業施設
<商業施設>
あ 原則
商業施設について
例;デパート,スーパーマーケット,商店など
現に利用できるものに限る
物件までの道路距離を明示する
い 例外=現存しない施設
将来確実に利用できる施設について
例;工事中
→完成予定時期を明示して表示できる
※施行規則10条(30)