【仮想通貨に関連するサービスと法規制(全体と賭博罪)】
1 仮想通貨に関連するサービスと法規制(総論)
2 仮想通貨に関するサービス
3 仮想通貨に関連するサービスの法規制(概要)
4 仮想通貨と賭博罪
1 仮想通貨に関連するサービスと法規制(総論)
仮想通貨は社会に大きく普及しつつあるといえましょう。別の角度からは,仮想通貨に関連するいろいろなサービスが登場しているということです。
本記事では,仮想通貨に関連するサービスと,これに対する法規制について説明します。
2 仮想通貨に関するサービス
最初に,仮想通貨に関するサービスのうち代表的なものをまとめます。
<仮想通貨に関するサービス>
あ 取引所
ビットコインの購入者・売却する者のマッチング(場の提供)
い ウォレット
ビットコインを管理するサービスの提供
う ビットコイン決済
EC事業者などに『決済インフラ』を提供
え マイニング
ビットコインの採掘によるBTC生成+トランザクションフィーの受領
お ATM
ユーザーがビットコイン口座から『現地通貨』を引き出すサービスの提供
か 海外送金
通貨の異なるエリア間での送金サービスの提供
内容=法定通貨Aとビットコインの交換+ビットコインの送信+ビットコインと法定通貨Bの交換
3 仮想通貨に関連するサービスの法規制(概要)
仮想通貨に関連するサービスに対応する法規制をまとめます。現時点では規制対象ではないもの(想定されるもの)も含めて集約します。
<仮想通貨に関連するサービスの法規制(概要)>
あ 改正資金決済法
ア 仮想通貨交換業(交換所)
平成29年に改正資金決済法が施行される
仮想通貨交換業について登録制などの規制が適用される
詳しくはこちら|仮想通貨交換所の規制(平成28年改正資金決済法)の基本
イ 為替取引・資金移動業
仮想通貨の取引が『資金(法定通貨)の移動』のサービス(の一環)となっている場合
→為替取引に該当する
=資金移動業の登録が必要となる
仮想通貨そのものの取引は為替取引に該当しない
詳しくはこちら|仮想通貨交換業の定義と判断の方法(資金決済法とガイドライン)
ウ 今後の課題
改正資金決済法に関する課題もある
詳しくはこちら|仮想通貨交換業の規制(改正資金決済法)に関する問題・課題
い 金商法
仮想通貨そのものの取引に金商法は適用されない
→今後の法整備では金商法の活用・流用はあり得る
詳しくはこちら|金商法(金融商品取引法)・金融商品販売法と仮想通貨
トークンの発行に利益の分配が伴う場合は金商法の適用があり得る
詳しくはこちら|ICO(新たな仮想通貨の発行・販売)に関する日本の法規制(全体)
う 金融商品販売法
今後の法整備で規制対象に加わる可能性もある
詳しくはこちら|金商法(金融商品取引法)・金融商品販売法と仮想通貨
え 不正な取引の規制(相場操縦・のみ行為)
一般的な市場取引では不正行為の規制がある
例=相場操縦・のみ行為
→仮想通貨の取引も対象となる可能性がある
詳しくはこちら|取引相場に関する風説の流布・のみ行為の規制と仮想通貨
お 仮想通貨の貸付けの規制
仮想通貨の貸付について
利息制限法,貸金業法の規制が参考となる
ただし現時点では規制の対象とはなっていない
詳しくはこちら|ビットコインの取引所・貸与→貸金業登録・古物営業許可は不要|グレーゾーン
か 貸金業法・古物営業法(概要)
仮想通貨は『通貨』には該当しない
→仮想通貨の貸付や販売について
→貸金業・古物営業には該当しないと思われる
詳しくはこちら|ビットコイン→『貸金業・古物営業』には該当しない|眠る『グレーゾーン』
き 賭博罪との関係
間接的に賭博罪の成立との関係も生じる(後記※1)
4 仮想通貨と賭博罪
直接的なサービス自体の規制(業法の規制)とは異なるものとして賭博罪との抵触の問題があります。
<仮想通貨と賭博罪(※1)>
法整備を含めて社会的に仮想通貨の普及が進む
→仮想通貨の経済的価値が大きくなる
例;社会的に『通貨』同様の扱いとなる
→『一時娯楽物』に該当しない方向性となる
→偶然の影響を受ける取引が『賭博罪』成立につながる
現時点で十分に経済的価値が大きい仮想通貨も多い
詳しくはこちら|賭博罪の適用除外となる『一時娯楽物』の判断基準・具体例・判例
本記事では仮想通貨に関連するいろいろなサービスと法規制との関係について説明しました。
実際には個別的な事情・仕組みによって法的扱いが異なることもあります。
実際に仮想通貨に関するプロジェクトの中で問題や疑問が生じている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。