【賃料の消費者物価指数連動・不減額や固定率増額特約の有効性判断】
1 公租公課・物価指数連動と不減額特約(無効判断)
2 固定率増額特約(無効判断)
1 公租公課・物価指数連動と不減額特約(無効判断)
賃料に関する特約は,状況によって無効(失効)となることがあります。
詳しくはこちら|賃料に関する特約の一般的な有効性判断基準(限定的有効説)
本記事ではややマイナーな種類の特約について,有効性を判断した裁判例を紹介します。
まず,公租公課と消費者物価指数との連動と,一定範囲の減額しない内容を組み合わせた特約に関するものです。
正確には『無効』という判断はしていません。少なくとも特約どおりの効果は認めなかったという意味です。
<公租公課・物価指数連動と不減額特約(無効判断)>
あ 特約の内容
ア 3年ごとに賃料の改定を行うイ 賃料は公租公課・消費者物価指数の変動率に連動するウ 消費者物価指数が下降しても賃料を減額しない
い 裁判所の判断
借地借家法11条1項の規定は強行法規である
→賃料増減額請求を行使できる
特約の『有効/無効(失効)』は示していない
う 賃料改定特約の影響
賃料増減額の当否・相当賃料額の判断において
賃料改定特約を重要な事情として十分に考慮する
※最高裁平成16年6月29日
詳しくはこちら|増減額請求権の強行法規性に関する4つの最高裁判例(要点)
詳しくはこちら|増減額請求権の強行法規性に関する4つの最高裁判例(引用)
2 固定率増額特約(無効判断)
賃料を増額する割合を数字で固定した特約についての有効性判断です。
<固定率増額特約(無効判断)>
あ 当初の地代
更地評価額の8%相当額→高い
い 特約
ア 賃料は3年毎に見直すイ 第1回目の見直し時は当初賃料の15%増とするウ 次回以降は3年毎に10%増額する
う 裁判所の判断
増額の程度が大き過ぎる
→特約は無効である
=賃借人は賃料減額請求が可能
※最高裁平成15年6月12日