【自家用自動車の有償貸渡(レンタカー)の規制(基本)】
1 自家用自動車の有償貸渡(レンタル)規制
2 『業』の解釈と判定(概要)
3 自家用自動車の有償貸渡の許可基準
4 個人による許可取得の実情
5 違反に対する罰則
6 違反に対する行政処分
7 マッチングサービスと法規制
8 自家用自動車の貸渡通達のソース
1 自家用自動車の有償貸渡(レンタル)規制
自動車を有料で貸すサービスは『自家用自動車の有償貸渡』として規制が適用されます。
要するにレンタカーの規制です。
プライベートで所有しているマイカーを貸すケースも対象となることがあります。
本記事では,自家用自動車の有償貸渡の規制の基本的な内容を説明します。
まずは規制の基本的事項をまとめます。
<自家用自動車の有償貸渡(レンタル)規制>
あ 『自家用自動車』の定義(概要)
一般的な自動車
軽自動車・自動二輪車も含む
原動機付自転車だけは含まない
詳しくはこちら|自家用自動車の有償運送の禁止
い 自家用自動車の『有償貸渡』禁止
自家用自動車を『業として有償で貸し渡す』ことについて
→国土交通大臣の許可が必要である
※道路運送法80条1項
2 『業』の解釈と判定(概要)
自家用自動車の有償貸渡の禁止の対象は『業として』貸すものだけです(前記)。
実際には『業として』に該当するかどうかを確実・明確にできるとは限りません。
反復・継続・社会性などの評価によって判定されるのです。
これについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|業法一般|『業』=反復継続意思+事業遂行レベル|不特定多数は1事情
3 自家用自動車の有償貸渡の許可基準
自家用自動車の有償貸渡の許可を取るために必要な条件をまとめます。
<自家用自動車の有償貸渡の許可基準>
あ 主な許可基準
ア 過去の刑事処罰・行政処分歴がないイ 一定の自動車保険に加入する
い 自動車保険への加入
保険の種類 | 保障内容 |
対人保険 | 1人あたり8000万円以上 |
対物保険 | 1件あたり200万円以上 |
搭乗者保険 | 1人あたり500万円以上 |
※自家用自動車の貸渡通達(後記※1)『1−3』
4 個人による許可取得の実情
自家用自動車の有償貸渡の許可は,特に大規模な企業ではなくても取得できます。
通常の個人が許可を取得することも難しくありません。
<個人による許可取得の実情>
自家用自動車の有償貸渡の許可について
いわゆる『サイドビジネス』としてでも問題ない
許可自体は一般のレンタカー業者と同じである
極力許可を認める方針となっている
※道路運送法80条2項
※関東運輸局東京支局 総務・企画部門ヒアリング|平成27年4月
5 違反に対する罰則
自家用自動車の有償貸渡の規制に違反すると刑事罰の対象となります。
<違反に対する罰則>
あ 構成要件
自家用自動車を業として有償で貸し渡した
許可を受けていない
い 法定刑
罰金100万円以下
※道路運送法98条17号
6 違反に対する行政処分
自家用自動車の有償貸渡の規制に違反すると,行政的なペナルティを受けることもあります。
<違反に対する行政処分>
あ 対象行為
自家用自動車を業として有償で貸し渡した
許可を受けていない
い 行政処分
国土交通大臣は自家用自動車の使用者に対して
自家用自動車の使用制限or禁止をすることができる
期間の上限=6か月
※道路運送法81条1項4号
7 マッチングサービスと法規制
自動車を『貸す』サービスと,『マッチング』のサービスは別の扱いです。
『マッチングサービス』については,法規制の対象ではありません。
許認可などは不要です。
ただし,具体的な事情・ビジネスモデルによっては違法となる可能性もあります。
詳しくはこちら|マッチング・サービス全体×法規制|対象物ごとに規制の有無が違う
8 自家用自動車の貸渡通達のソース
以上の説明で用いた通達の情報ソースをまとめておきます。
<自家用自動車の貸渡通達のソース(※1)>
あ タイトル
貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて
い 日付・発信者
平成18年3月30日国自旅第286号(最終改正)
自動車交通局長