【契約締結上の過失(全体)】
1 契約の無効や不成立と責任(原則)
2 契約締結上の過失の責任の分類
1 契約の無効や不成立と責任(原則)
一般的な契約は無効や不成立となると,文字どおり,契約の効力が生じません。
当たり前ですが,これが大原則です。
しかし,特殊な事情があると例外的に責任が発生することもあります。
<契約の無効や不成立と責任(原則)>
あ 契約責任
契約を(形式的に)締結した
しかし無効(効力不発生)となった場合
→契約による効力は発生しない
い 契約締結上の過失による責任(概要)
契約締結に向けた当事者の行為について
特殊な事情がある場合
→契約責任(あ)以外の責任が発生する
う 『契約締結上の過失』の呼称
発生する責任(い)にはいくつかの種類のものがある(後記※1)
→発生する責任の総称として
『契約締結上の過失』と呼ぶ
※能見善久ほか『論点体系 判例民法5 第2版』第一法規出版2013年p17
2 契約締結上の過失の責任の分類
契約締結上の過失は総称であり,いろいろな責任が含まれます。
分類の仕方は特に決まっていませんが,一般的な分類をまとめます。
<契約締結上の過失の責任の分類(※1)>
あ 契約無効
契約を締結したが無効であった
詳しくはこちら|無効な契約を締結した責任
い 契約交渉破棄
契約締結前に交渉を破棄した
詳しくはこちら|契約締結に向けた交渉を破棄した責任(全体)
う 説明義務違反
契約を締結したが交渉過程での説明に不備があった
詳しくはこちら|売買契約に関する責任の種類(瑕疵担保・債務不履行・不法行為)
え 積極的加害
具体的な積極的な加害的な行為があった
※能見善久ほか『論点体系 判例民法5 第2版』第一法規出版2013年p17,18