【男女交際×民事的違法|基本|金銭の動き→公序良俗違反・無効|典型例】

1 民事的な違法→『無効』となる|公序良俗違反
2 男女交際×民事的違法|種類=不貞・売春・条例違反・愛人契約など
3 男女交際×金銭の動き→違法|贈与カテゴリ
4 男女交際×金銭の動き→違法|貸与カテゴリ
5 契約の無効×金銭・物品の動き|概要
6 男女交際×金銭の動き→違法|贈与・貸与ミックス

1 民事的な違法→『無効』となる|公序良俗違反

民法上,約束・合意が『違法・不法』であると無効となります。
基本的なルールをまずはまとめておきます。

<民事的な違法×無効|公序良俗違反>

あ 民事的な違法→『無効』

男女の交際に伴う,一定の金銭の動き
→『公序良俗違反』として無効なることがある
※民法90条

い 公序良俗違反の意味

『社会通念を逸脱・不法・違法』と同様の意味
→簡単に言うと『常識を大きく逸脱している=非常識』ということ

う 刑事/民事の『違法』の違い

同じ『違法』でも民事/刑事で概念が異なる
民事上よりも刑事上の『違法性』の方が高い基準である
詳しくはこちら|男女交際・性行為に関する刑罰|売春防止法・児童ポルノ法・青少年育成条例・強姦罪

このように『違法・不法』は刑事と民事で異なるのです。
以下,民事的に違法な男女交際,について具体例を用いて説明します。

2 男女交際×民事的違法|種類=不貞・売春・条例違反・愛人契約など

男女交際が『民事的違法』となるような交際の形態・種類についてまとめます。

<男女交際×民事的違法→合意は無効|種類>

あ 不貞行為

交際当事者のいずれかor両方が既婚者という状態

い 売春(買春)行為

刑事的な『違法』である
→『金銭関係=民事的』にも『違法』となる

う 青少年育成条例・児童ポルノ法・刑法(強姦罪)の対象行為

刑事的な『違法』である
→これらの行為に『対価の支払』が伴う場合
→『金銭関係=民事的』にも『違法』となる

え 『専属愛人契約』

ア 刑事的=適法 売春防止法などには抵触しない
=これらの刑罰法規上は『適法』と言える
イ 民事的=違法の傾向 民事上は『違法』と判断される可能性が高い
※民法708条;『不法』

このような男女交際は民事的に『違法』と判断されることが多いです。
民事的に違法となると『金銭の動き』が無効となります。
次に『金銭の動き』の種類を説明します。

3 男女交際×金銭の動き→違法|贈与カテゴリ

男女交際に伴う金銭の動きとしては『あげる=贈与』というものが典型的です。

<男女交際×金銭の動き→違法|贈与カテゴリ>

あ 直接的な交際(性交)の対価として渡す(贈与)

個別的な支払,1か月単位での定期的支払など

い 間接的な『プレゼント・サポート』として提供する(贈与)

ア 交際相手のビジネス 例;店舗運営資金
イ 交際相手の個人的生活費 例;日々の生活や学費
ウ 交際相手へのプレゼント 例;マンションや自動車購入,学費プレゼント

う 違法リスク

贈与契約が違法となる可能性がある
この場合の扱いは後述する

4 男女交際×金銭の動き→違法|貸与カテゴリ

男女交際に関係して『金銭を貸す』というシーンもあります。

<男女交際×金銭の動き→無効|貸与カテゴリ>

あ 『サポート』としての『貸与』

『借用書』『金銭消費貸借契約書』に調印する

い 資金の使途|例

ア 交際相手のビジネスの資金イ 交際相手の学費

う 違法リスク

貸与=金銭消費貸借契約が違法となる可能性がある
この場合の扱いは後述する

5 契約の無効×金銭・物品の動き|概要

民事的な『違法な契約』である場合,金銭・物品の動きが複雑です。
既に支払や引き渡し前と後で法的な扱いが違うのです。

<契約の無効×金銭の動き|概要>

あ 未払いの場合

金銭・物品の引き渡し請求はできない
※民法90条

い 支払・引き渡し済の場合

原則的に返還請求はできない
※民法708条

これらの説明は別にまとめてあります。
(別記事『金銭の清算』;リンクは末尾に表示)
支払済の場合でも,例外的な解釈もあります。
具体的事例の判例を元にして次に説明します。

6 男女交際×金銭の動き→違法|贈与・貸与ミックス

『贈与・貸与』が混ざった状態で金銭が動く,という実例もあります。
判例になった事例を元にまとめます。

<男女交際×金銭の動き→無効|贈与・貸与ミックス>

あ 事例

男性が女性に金銭をプレゼントした
→関係が悪化した
→『今までのプレゼント分を返還する』と約束(調印)した

い 裁判所の判断

ア 『元の債務』 公序良俗違反
→無効である
イ 『準消費貸借による返還債務』 連鎖して無効である
※民法90条,588条
※東京高裁平成11年6月16日

このように,全体として『違法→無効』と判断されました。
以上は『民事的な違法・不法』であることを理由に『無効』となる基礎的理論でした。
より具体的な状況・事案については別記事で説明しています(リンクは末尾に表示)。

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