【開発許可の必要の不告知による売主・仲介の連帯責任（肯定裁判例）】

１　開発許可を要する規制と売主・仲介の責任（概要）

建物を建築するには開発が必要という規制を受ける土地もあります。
建物を建築する予定で土地を購入した後にこのような建築規制が発覚すると想定外の損失が生じます。
そこで，建築規制を告知しなかった売主や仲介業者は責任を負うことになります。
売買契約の解除と損害賠償の両方が認められた事例を紹介します。

まずは，売買契約の締結に至る経緯をまとめます。
仲介業者は当然として，売主も宅建業者であるという特殊事情がありました。

売主A＝宅建業者
仲介業者B
買主C

『あ』の当事者は土地の売買契約を締結した
Cは家屋を建築する目的で土地を入手した

土地には建築規制があった
『ア〜ウ』のすべてを得ないと建築ができなかった
ア　開発許可取得イ　開発工事の完了ウ　工事完了検査証の交付を受ける

A・BはCに対して
『う』の建築規制の内容を完全には説明していなかった
※大阪高裁昭和５８年７月１９日

裁判所は，売主と仲介業者の両方に責任を認めました。
売買契約の解除と，これとは別に，損害賠償の連帯責任を認めたのです。

裁判所は『ア・イ』の責任を認めた
ア　売主A 債務不履行責任
＝損害賠償＋契約解除
イ　仲介業者B 不法行為責任
＝損害賠償

手付金相当額の賠償

A・Bが負う損害賠償責任について
→不真正連帯債務である
※大阪高裁昭和５８年７月１９日