【更新料支払合意(特約)の基本(種類・法的問題の分類)】
1 更新料支払の合意のタイミング
2 更新料支払特約の種類
3 更新料支払合意(特約)の法的問題の分類
1 更新料支払の合意のタイミング
借地契約において更新料を支払う合意(特約)がなされることも多いです。
本記事では,更新料の特約の基本的事項を説明します。
最初に,更新料に関する合意がなされるタイミングは大きく2つに分類できます。
<更新料支払の合意のタイミング>
あ 契約の特約
借地契約締結時において
更新料の支払を合意する
例;契約書の条項(特約)にする
い 紛争解決と更新料の合意
紛争解決の場面で更新料の合意がなされることも多い
例;地代改定・再築・増改築・借地権譲渡
※最高裁昭和59年4月20日
詳しくはこちら|更新料支払特約に反する不払による解除の有効性
※澤野順彦『判例にみる 借地・借家における特約の効力』新日本法規出版2008年p161
紛争解決時に,(実質的な)更新料を実際に支払うというケースもあります。
この場合は合意(特約)ではないので,本記事の説明の対象ではありません。
詳しくはこちら|借地の更新料の基本(更新料の意味と支払の実情)
2 更新料支払特約の種類
更新料支払の特約はその内容について,大きく2つに分類できます。
<更新料支払特約の種類>
あ 金額未定方式
契約更新時における
相当額の更新料の支払義務のみを定める
金額については規定しない
い 金額算定方法規定方式
更新料の支払義務とともに
具体的な更新料の額の定め方を規定する
※澤野順彦『論点 借地借家法』青林書院2013年p269
3 更新料支払合意(特約)の法的問題の分類
更新料支払特約は有効であるとは限りません。
つまり,内容どおりに更新料の支払義務が発生しないということもあるのです。
法的な問題点は3つに分類できます。
<更新料支払合意(特約)の法的問題の分類>
あ 強行法規との関係
強行法規に反して無効ではないか
詳しくはこちら|借地の更新料特約の有効性(基本)
い 法定更新との関係
(合意(特約)自体は有効である前提で)
法定更新にも適用されるのか
詳しくはこちら|更新料特約の法定更新への適用(更新料支払義務)の有無
う 不払の効果
(合意(特約)自体は有効である前提で)
特約に違反して借地人が更新料を支払わない場合の効果
詳しくはこちら|更新料支払特約に反する不払による解除の有効性
※澤野順彦『論点 借地借家法』青林書院2013年p269,270