【IT重説における説明の相手方からの同意書の取得】

1 IT重説に関する説明の相手方からの同意書
2 説明の相手方の同意の取得
3 同意の取得方法の基本ルール
4 同意の取得方法の具体例
5 同意書に含める要素(記載事項)
6 個人情報の取扱いについての同意

1 IT重説に関する説明の相手方からの同意書

オンラインで重要事項の説明をするIT重説についてのいろいろなルールがあります。
詳しくはこちら|IT重説における事業者(宅建業者)の『事前』の責務
重要事項説明の前に行うことが必要な事項の中に説明の相手方の同意の取得があります。
本記事では,IT重説の相手方から得る同意(書)について説明します。

2 説明の相手方の同意の取得

重要事項を説明する相手方(買主や賃借人)から,IT重説を利用することについての同意を得ることが必要です。

<説明の相手方の同意の取得>

あ 同意の必要性

IT重説についての説明の相手方との同意書の作成 IT重説の実施にあたっては
登録事業者及び説明の相手方が
重要事項説明にITを活用することについて同意する必要がある

い 同意取得の必要性

登録事業者は説明の相手方に一定の説明をする必要がある
その上で説明の相手方からの同意を得る必要がある
※IT重説ガイドライン『4(1)②』・p6

3 同意の取得方法の基本ルール

IT重説について,説明の相手方から同意をもらう方法についてのルールがあります。

<同意の取得方法の基本ルール>

あ 原則的な方法(書面)

同意の取得方法については
原則として,同意書(書面)により取得する必要がある
同意書には,登録事業者及び説明の相手方の記名押印が必要となる

い オフライン取得の例

対面において同意書(書面)を説明の相手方から取得する
重要事項説明書の事前送付に併せて同意書を送付する(後記※1

う オンライン取得の方法

同意(書)の取得について
登録事業者及び説明の相手方が同意したことについて証跡が残る方法であれば手法は問わない
いろいろな具体的方法がある(後記※1
※IT重説ガイドライン『4(1)②』・p6

4 同意の取得方法の具体例

説明の相手方からの同意(書)の取得方法のルールは抽象的なものです(前記)。
この点,ガイドラインにはいろいろな同意書のやりとりの具体的な方法が示されています。
同意書については発信・受信の両方をオンラインで行うことができます。
メールでの送受信で済ませることも可能です。
重要事項説明書(前記)とは違って大幅に緩和されています。

<同意の取得方法の具体例(※1)

あ 往復オフライン

郵送を用いて同意書を送付・取得する
往復ともに紙面の郵送を用いる

い 往復オンライン

電子署名を用いて同意書を送信・受信する
事業者・説明の相手方の両方が同意書ファイルへの電子署名を行う

う オフライン+オンライン

ア 事業者→説明の相手方 ID・PWなどを記載した紙面を本人受取限定郵便で送付する
イ 説明の相手方→事業者 WEBサイト上でID・PWを用いてログインする
確認内容を閲覧する→印刷orファイルに保存する
確認する旨を送信する

え 最簡略オンライン

登録事業者が同意書の内容を記載し,送付したメールに返信をする方法
※IT重説ガイドライン『4(1)②・図2〜4』・p6〜8

5 同意書に含める要素(記載事項)

同意書やメールの同意の文面には含めなくてはならない事項が決められています。
これは,事業者から説明をして,説明の相手方が同意するかどうかを判断する事項といえます。

<同意書に含める要素(記載事項)>

あ 基本情報

ア 同意書の作成者=登録事業者名イ 同意対象となる取引物件

い 同意内容

ア IT重説は社会実験であることイ 重要事項説明を受ける方法として対面かITを選べることウ トラブル等が生じた場合に,IT重説を中止できることエ IT重説の内容が録画・録音されることオ 録画・録音データなどが必要に応じて国土交通省,都道府県に提供されることカ 事後に2回のアンケートがあり,これに必ず回答する必要があること・その内容が国土交通省に報告されること アンケートの時期=IT重説を行った直後及び契約から3か月後
キ 録画・録音データなどが登録事業者の定める方法で社会実験期間中保管されること 保管方法=個人情報保護に関する対応方針や個人情報の管理方法

う 同意文章

同意内容を確認した上で,登録事業者が指定する方法でIT重説を実施するこ とについて,同意する旨

え 記名押印(書面による場合)

ア 同意年月日,IT重説を実施する予定の宅地建物取引士の記名押印イ 同意年月日,説明の相手方の記名押印 ※IT重説ガイドライン『4(1)②』・p8,9

6 個人情報の取扱いについての同意

以上の事項とは別に,同意を得ることが推奨される事項もあります。
個人情報の取扱いについての注意事項です。
これは必須の項目とはされていません。

<個人情報の取扱いについての同意>

あ 同意取得の推奨

説明の相手方が宅地建物取引士に無断で録画・録音することのないように『い』の内容を確認することが望ましい

い 個人情報保護対応における留意点(確認事項)

ア 重要事項説明が実施された際に取り交わされた宅地建物取引士及び第三者に関する個人情報は,宅地建物取引士の同意なく,第三者への提供や公開を行わないイ 重要事項説明の録画・録音は,宅地建物取引士の同意なく行わないウ 宅地建物取引士や第三者の個人情報を含むデータ・書面などの管理は,適切に行う ※IT重説ガイドライン『4(1)②』・p9

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