【仮想通貨交換業の登録制度の施行日と平成29年10月までの特例期間】

1 仮想通貨交換業の登録制度の施行日と特例期間
2 仮想通貨交換業の制度を新設する法令
3 改正資金決済法施行に伴う特例期間
4 特例期間中の仮想通貨交換業者みなし
5 登録不要の特例期間の終了
6 仮想通貨交換業者の登録申請の実情(概要)

1 仮想通貨交換業の登録制度の施行日と特例期間

平成28年6月に資金決済法が改正され,仮想通貨交換業の登録制度が作られました。
詳しくはこちら|仮想通貨交換所の規制(平成28年改正資金決済法)の全体像
この制度(改正法)の施行日は平成29年4月です。
しかしその後も登録済みとなった業者は,平成29年8月の時点ではゼロです。
というのは,改正法において,経過措置として,登録なしで仮想通貨交換業を行うことが許される特例期間が設定されているのです。
本記事では,資金決済法の改正に関する時期や経過措置について説明します。

2 仮想通貨交換業の制度を新設する法令

仮想通貨交換業の制度を新たに作った法律と公布・施行の日を整理します。

<仮想通貨交換業の制度を新設する法令>

あ 改正する法令

資金決済法(の改正)

い 改正を定めた法令

情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律
平成28年法律62号
本記事では『情報通信技術環境変化対応改正法』という

う 公布日

平成28年6月4日

え 施行日

ア 附則 公布日から1年を超えない範囲内で政令で定める日
※平成28年改正附則1条
イ 政令 平成29年4月1日(に施行する)

3 改正資金決済法施行に伴う特例期間

資金決済法の改正で仮想通貨交換業には登録制度の規制が適用されることになりました。
一方,施行日よりも前から仮想通貨交換業(に該当するサービス)はすでに行われていました。
そこで,半年間(平成29年10月1日)までは登録不要の特例期間が設けられました。
さらに,その特例期間中に仮想通貨交換業の登録申請をすれば,審査の結果登録されるまで,特例期間は延長されます。

<改正資金決済法施行に伴う特例期間(※1)

あ 登録不要の特例期間(通常)

改正資金決済法の施行日(平成29年4月1日)において
現に仮想通貨交換業を行っている者は
施行日から6か月間は仮想通貨交換業を行うことができる
=登録を必要とする規定(資金決済法63条の2)は適用されない
※情報通信技術環境変化対応改正法附則8条1項

い 登録不要の特例期間(登録申請中)

『ア・イ』の両方に該当する者は
登録or登録拒否の処分があるまでの間
仮想通貨交換業を行うことができる
=登録を必要とする規定(資金決済法63条の2)の適用はない
ア 施行日において現に仮想通貨交換業を行っているイ 施行日から6か月以内に仮想通貨交換業の登録申請をした ※情報通信技術環境変化対応改正法附則8条1項

この特例期間が適用されるには,施行日(平成29年4月1日)の時点で,すでに仮想通貨交換業のサービス提供を行っていることが必要です。

4 特例期間中の仮想通貨交換業者みなし

資金決済法では,仮想通貨交換業の登録をした事業者のみが,いろいろな規制の対象です。
特例期間中の登録なしで仮想通貨交換業を行っている事業者は形式的には適用の対象外です。
これは不合理なので,附則において資金決済法が適用されると規定されています。

<特例期間中の仮想通貨交換業者みなし>

特例期間内に仮想通貨交換業を行う登録未了の者について
→仮想通貨交換業者とみなす
=資金決済法の規定を適用する
※情報通信技術環境変化対応改正法附則8条2項

5 登録不要の特例期間の終了

登録不要の特例期間は,金融庁が,監督権限によって強制的に終了することもありえます。

<登録不要の特例期間の終了>

『ア・イ』のいずれかに該当した場合
→その時点で登録不要の特定期間(前記※1)は終了する
ア 仮想通貨交換業の登録の拒否の処分イ (登録後に)業務停止命令がなされた ※資金決済法63条の17第1項
※情報通信技術環境変化対応改正法附則8条1項

6 仮想通貨交換業者の登録申請の実情(概要)

実際に,平成29年9月の時点で,仮想通貨交換業の登録が完了した事業者はありませんでした。その後登録件数は増えつつあります。
平成30年8月時点での登録申請の件数や,審査の所要期間などは,別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|仮想通貨交換業者登録の申請件数や所要期間の実情(平成30年8月)
また,平成30年4月時点での登録申請の手続の流れや所要期間についても,別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|仮想通貨交換業者の登録申請の手続の流れ(事前面談・ドラフト審査・本申請)

仮想通貨交換業の登録には多くの細かいルールや運用上の扱いがあります。
みずほ中央法律事務所では,仮想通貨交換業の登録やその準備段階のサポートを行っています。
実際に仮想通貨交換業登録をお考えの方は,弁護士の法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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【住宅宿泊事業法(平成29年民泊新法)の条文の全文】
【仮想通貨交換業者登録の申請件数や所要期間の実情(平成30年8月)】

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