【結婚制度の不合理性を回避する方法の全体像(婚外子・夫婦財産契約など)】
1 結婚制度の不合理性を回避する方法
2 交際中の男女の進路のフルラインナップ
3 カスタマイズした結婚(夫婦財産契約・プレナップ)
4 夫婦財産契約はあまり普及していない
5 婚外子として出産する方法は普及しつつある
1 結婚制度の不合理性を回避する方法
男女や誕生した子が家族となる制度としては婚姻(法律婚)が代表的なものです。
しかし,結婚制度には,時代にマッチしない不合理な点が多く指摘されています。
詳しくはこちら|結婚制度の不合理性(婚費地獄・結婚債権・貞操義務の不公平・夫婦同姓など)
そこで,結婚を避けるために男女が別れることが起きています。つまり,出産や家族を形成する(幸せになる)機会の喪失が生じているのです。
この点,結婚制度の不合理を避けつつ,幸せを実現するためのいろいろな方法があります。
本記事では,結婚制度の不合理性を避ける方法について説明します。
2 交際中の男女の進路のフルラインナップ
交際中の男女の『進路』として,すぐに思いつくのは『結婚or別れる』という選択肢です。
しかし,法律的な制度・解釈としては,これら以外の選択肢もあります。
<交際中の男女の進路のフルラインナップ>
あ 法律婚
レガシー結婚のことである
結婚制度自体に不合理なところがある
詳しくはこちら|結婚制度の不合理性(婚費地獄・結婚債権・貞操義務の不公平・夫婦同姓など)
い 夫婦財産契約付結婚
夫婦財産契約を締結した上で結婚する
う 結婚しないけど出産(婚外子)
『結婚の予定なく交際を続ける』という意味
子供の扶養義務,などの一定の義務を否定するわけではない
え 別れる
個別的な当事者(男女)で『進路の選択肢が多い』ということは有益です。
3 カスタマイズした結婚(夫婦財産契約・プレナップ)
敢えて法律婚を選びつつ,不合理な効果を避ける方法もあります。
というのは,法律婚の夫婦間の財産に関するルールは,カスタマイズすることが可能なのです。
夫婦で設定する契約を夫婦財産契約とよびます。
詳しくはこちら|夫婦財産契約(婚前契約)によって夫婦間のルールを設定できる
婚姻前に,契約として締結しておけば良いのです。
<夫婦財産契約の内容(項目)例>
あ 婚姻費用分担金
夫婦の収入の分け方
い 夫婦間の財産の帰属
う 財産分与の算定方法
例=『婚姻からn年経過後のみ財産分与を行う』
え 慰謝料の算定方法
例=慰謝料の金額の上限や下限を設定するなど
詳しくはこちら|夫婦財産契約(婚前契約)で決めることができる内容(条項)と有効性
『夫婦財産契約+結婚』の方法であれば,『結婚宗教』を維持しつつ,一定のリスクの回避もできます。
4 夫婦財産契約はあまり普及していない
夫婦財産契約は有用に思えますが,実際には普及していません。
一方,米国では夫婦財産契約(に相当するプレナップ)は普及しています。
日本では文化などの環境的な要因が夫婦財産契約の普及にブレーキをかけているのでしょう。
詳しくはこちら|夫婦財産契約が普及しない現状・原因・米国との比較や利用される典型的状況
5 婚外子として出産する方法は普及しつつある
男女交際の進路の1つとして,婚外子として子供をもつ家族という形態があります(前記)。
この場合には,両親(男女)は事実婚(内縁)という関係になることが多いです。
婚外子を持つ『家族』の普及や法律的な扱いについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|婚外子として子供を持つ家族(事実婚・内縁など)の普及と法律的扱い
本記事では,結婚制度の不合理なところを回避しつつ『家族』となる方法の種類について説明しました。
実際には,個別的な事情によって,最適な選択肢は違ってきます。
実際の『家族のスタイル(形態)』に関する問題・悩みに直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。
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