【貸金業法の(金銭貸借の)『媒介』の意味や解釈(金融庁見解)】

1 貸金業法の(金銭貸借の)『媒介』の意味や解釈(金融庁見解)
2 『媒介』の意味
3 『金銭の貸借の媒介』に関する金融庁見解(基本)
4 金融庁見解(媒介行為の一部の具体例)
5 金融庁見解の情報のソース(リンク)

1 貸金業法の(金銭貸借の)『媒介』の意味や解釈(金融庁見解)

貸金業法では,貸金業登録制がとられています。
つまり,『貸金業』と行うには登録が必要ということです。
『貸金業』の代表例は金銭の貸付けですが,これの媒介も『貸金業』に含まれます。
詳しくはこちら|『貸金業』の定義と登録制・無登録営業への罰則(付随的サービスの適用除外)
本記事では,金銭の貸借の媒介の意味や解釈を説明します。

2 『媒介』の意味

まず,『媒介』という用語の意味は,(金銭の貸借の)契約の成立に尽力する行為のことです。これは,辞書的な意味に近いです。実際のサービスが媒介に該当するかどうかをはっきり判断できないことも多いです。

<『媒介』の意味>

媒介とは,借り手と貸し手の間に立って,両者を当事者とする法律行為の成立に尽力する行為をいう
※上柳敏郎ほか編著『逐条解説 貸金業法』商事法務2009年p52

3 『金銭の貸借の媒介』に関する金融庁見解(基本)

金銭の貸借の媒介の意味について,金融庁がコメントを出しています。
ある程度具体的なサービス内容を想定して,金銭の貸借の媒介(貸金業)に該当するかどうかの判断を示しています。まずは基本的な部分をまとめます。

<『金銭の貸借の媒介』に関する金融庁見解(基本)>

あ 媒介該当行為の具体例

金銭の貸借を内容とする契約に係る以下の『ア〜ウ』の各行為は,原則として,貸金業法第2条第1項に規定する『金銭の貸借の媒介』に該当する。
ア 契約の締結の勧誘イ 契約の勧誘を目的とした商品説明ウ 契約の締結に向けた条件交渉

い 媒介該当行為の一部の遂行

金銭の貸借に関して『ア〜ウ』の各行為の事務処理の一部のみを行うに過ぎない場合は,金銭の貸借の媒介に至らない行為といえる場合もある
ア 商品案内チラシ・パンフレット・契約申込書等の単なる配布・交付(※1)イ 契約申込書及びその添付書類等の受領・回収(※2)ウ 住宅ローン等の説明会における一般的な住宅ローン商品の仕組み・活用法等 についての説明(※3)

う 総合的な判断

金銭の貸借の媒介に該当するか否かは,金銭の貸借を内容とする契約の成立に向けた一連の行為における当該行為の位置付けを踏まえた上で総合的に判断されるも のである
一連の行為の一部のみを取り出して,直ちに金銭の貸借の媒介に該当しないと判断することは適切でない
※平成27年12月金融庁コメント(後記)

4 金融庁見解(媒介行為の一部の具体例)

金融庁の見解には,前記の媒介行為の一部の行為について,さらに具体的な例を挙げて貸金業に該当する可能性が指摘されています。

<金融庁見解(媒介行為の一部の具体例)>

あ 申込書の配布・公布を超える行為

前記※1の行為について,契約申込書等の単なる配布又は交付を超えて,配布又は交付する契約申込書等の記載方法等の説明まで行う場合には金銭の貸借の媒介に当たることがあり得る

い 申込書の受領・回収を超える行為

前記※2の行為について,契約申込書の単なる受領・回収又は契約申込書の誤記・記載漏れ・必要書類の添付漏れの指摘を超えて,契約申込書の記載内容の確認等まで行う場合には,金銭の貸借の媒介に当たることがあり得る

う 商品説明を超える行為

前記※3について,資金の融通を受けたい者と資金の融資を行いたい者との間に立って金銭消費貸借契約の成立に尽力する行為は,資金の融通を受けたい者又は資金の融資を行いたい者のどちらのために行われているかを問わず,金銭の貸借の媒介に該当する
※平成27年12月金融庁コメント(後記)

5 金融庁見解の情報のソース(リンク)

本記事で紹介した金融庁の見解のソースをまとめておきます。

<金融庁見解の情報のソース(リンク)>

平成27年12月1日
金融庁監督局総務課金融会社室長
金融庁における一般的な法令解釈に係る書面照会手続(回答書)
(本記事では『平成27年12月金融庁コメント』と呼ぶ)
外部サイト|金融庁|『金銭の貸借の媒介』の解釈の回答書

本記事では,貸金業に該当するサービスのうち,金銭の貸借の媒介の意味や解釈について説明しました。
実際には,サービスの具体的な細かい事情によって判断は違ってきます。
実際に新規サービスの設計や,既存のサービスの適法性の問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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