【法律相談;「聞かなかったことに」→真実義務違反】2
- Q弁護士にすべて事情を隠さずに話しました。
その後,都合が悪い事情について「聞かなかったことにしてもらう」というのが良いのでしょうか。 - Aお話いただいた後に「聞かなかったことにして欲しい」ということはできません。
特定の事情を「主張しない」ということは適法ですが,「(知っていながら)虚偽の主張をする」ことは弁護士としての処罰対象とされています。
弁護士は,一方当事者の利益を追及する,という使命があります。
ご依頼者に有利なアクションを探求する,ということは当然のことです。
しかし,なんでもして良い,ということはありません。
その制限が「真実義務」というものです(弁護士職務基本規程5条)。
「聞かなかったことにする」ということはまさにこの義務に違反します。
具体的には,義務違反をした弁護士には資格剥奪を含む処罰が適用されることになっているのです(弁護士法22条,56条,57条)。
弁護士には,法的サービスの大部分の独占が認められている,という公的な性格に由来するルールです。
条文
[弁護士法]
(会則を守る義務)
第22条 弁護士は、所属弁護士会及び日本弁護士連合会の会則を守らなければならない。
(懲戒事由及び懲戒権者)
第56条 弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。
2〜3(略)
(懲戒の種類)
第57条 弁護士に対する懲戒は、次の4種とする。
1.戒告
2.2年以内の業務の停止
3.退会命令
4.除名
2〜4(略)
[弁護士職務基本規程]
第五条(信義誠実)
弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする。
判例・参考情報
[実例 弁護士が悩む家族に関する法律相談―専門弁護士による実践的解決のノウハウ [単行本]
第一東京弁護士会法律相談運営委員会 (著)]
p352〜
「今度頼む弁護士には,その話はしない方がいいですよ」というアドバイス