【ウィークリー/マンスリーマンション×借地借家法|定期借家の活用】

1 建物賃貸借×借地借家法|一時使用目的|概要
2 ウィークリーマンション×借地借家法
3 建物賃貸借×一時使用目的|否定事情|概要
4 ウィークリーマンション×借地借家法|定期借家
5 ウィークリーマンション×旅館業|判断基準|概要

1 建物賃貸借×借地借家法|一時使用目的|概要

建物を貸す方式はいろいろなものがあります。
ウィークリーマンションやマンスリーマンションもその1つです。
本記事ではウィークリー/マンスリーマンションについて説明します。
なおこれらの名称には法的な定義はありません。
以下の説明では総称として『ウィークリーマンション』と呼びます。
まずは『借地借家法』が適用されるかどうか,が大きな問題です。
適用があるかないか,によって生じる違いをまとめます。

<建物賃貸借×借地借家法|適用の有無|概要>

あ 借地借家法の適用|原則

建物賃貸借は原則として『借家』に該当する
=借地借家法の適用がある
→多くの借主保護ルールが適用される

い 借地借家法の適用|代表的内容

ア 賃貸期間の制限→1年以上イ 契約終了制限→更新拒絶・解約申入が大きく制限されている

う 例外

一時使用目的である場合
→借地借家法は適用されない
詳しくはこちら|一時使用目的の建物賃貸借は借地借家法の適用がない

2 ウィークリーマンション×借地借家法

借地借家法におけるウィークリーマンションの扱い・判断をまとめます。

<ウィークリーマンション×借地借家法>

あ 前提となる賃貸の形態

ウィークリーマンション
マンスリーマンション

い 一般的契約形態×法的扱い

『短期間に限定する趣旨』が客観的に判断される場合(※1)
→『一時使用目的』に該当する
→『借地借家法』が適用されない

う 判定・注意

契約書のタイトルや条項だけで判断されるわけではない
『一時使用目的』と書いてあるだけでは不十分である
客観的状況から『期間限定である』ことが明確である

3 建物賃貸借×一時使用目的|否定事情|概要

『一時使用目的』の判断では実際の客観的事情が重視されます(上記※1)。
一時使用目的が否定される方向の事情の典型例をまとめます。

<建物賃貸借×一時使用目的|否定事情|概要>

あ 基本

一時的な使用を否定する事情が多い場合
→『一時使用目的』として認められない

い 一時使用を否定する事情|例

ア 期間満了の無意味化 契約更新が繰り返されている
例;トータルで数年間入居している
イ 契約期間 最初から『契約期間』が長い
例;契約期間として2〜3年が設定されている

4 ウィークリーマンション×借地借家法|定期借家

前記のように細かい事情によって法的扱いが判断されます。
サービス・事業としては大きな判定リスクを負います。
そこで『定期借家』契約を活用することが望ましいです。

<ウィークリーマンション×借地借家法|定期借家>

あ ウィークリーマンション×借地借家法

『一時使用目的』に該当しないと判断されるリスクがある

い リスク内容

『一時使用目的』に該当しない場合
→借地借家法の適用がある
→法定更新が適用される
→事業者のコントロール不能な状態となる

う ウィークリーマンション×定期借家

『定期借家』は『法定更新』の適用がない
→期間満了時の契約終了が明確になる
→ウィークリーマンションに適している

定期借家は,平成11年の借地借家法改正によって創設された制度です。
詳しくはこちら|定期借家の基本(更新なし=期間満了で確実に終了する)
一定の手続を行えば『法定更新が適用されなくなる』というものです。
実務では,定期借家契約を用いる方法が主流となっています。

5 ウィークリーマンション×旅館業|判断基準|概要

ウィークリーマンションは別の法的問題もあります。
旅館業法の法規制です。
『旅館業』に該当するとすれば『営業許可』が必要になるのです。
『旅館業』の判断について概要をまとめます。

<ウィークリーマンション×旅館業|判断基準|概要>

あ 衛生管理責任

衛生面の維持・管理をオーナーが行っている場合
→旅館業に該当する方向性

い 生活の本拠

宿泊者が当該部屋に生活の本拠を有していない場合
=暫定的居所
→旅館業に該当する方向性

う 滞在期間・目安

滞在期間が1か月未満である場合
→旅館業に該当する方向性
詳しくはこちら|ウィークリーマンション×旅館業|通達|標準形態

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