【一般的な再現性・法則化・マニュアル化|意義と内容の考察】

1 一般的な『法則化』のメリット
2 『法則化』により『妥当な結果』につながる
3 『法則化』→妥当な結果にならない要因
4 『法則化』により『ランダム要素・不公平』を回避できる
5 『法則』使用上の注意=過度の依存
6 帰納の欠点|参考情報

1 一般的な『法則化』のメリット

社会ではいろいろな面で『マニュアル化・法則化』がみられます。
ネガティブな感覚があります。
これについて考えます。

<『法則化』の同義語>

・マニュアル化
・再現性を確保
・基準を作る
・規範定立

『法則化』とは,上記の言葉と同義です。
この論文では,便宜的に表記を『法則化』と統一します。

<『法則化』の内容>

あ 一般的な意味

一般的に,業務,作業における判断,方法のプロセスを明確化,記録化すること

い 具体例

・事務作業の方法を記録,明記し統一する
・刑事事件の量刑,について,判断要素,判断基準を明確化,記録し,個別的事案において適用する
・法律の適用結果の判断(決定)のために,判断要素,判断基準を明確化し,個別的事案において適用する
・妥当な数値を得るために『定型の計算手順・式』に代入し,計算結果を得る
『関数』『函数』と呼ぶ

<『法則化』のメリット>

あ 再現性の確保

公平性につながる

い 予測可能性の確保

<『法則化』へのネガティブ感覚>

・杓子定規になる
・個別的事情が反映されない
・結果の妥当性が維持できない

2 『法則化』により『妥当な結果』につながる

『妥当な結果』についてまとめてみます。

<『妥当な結果』の分析>

あ 『妥当な結果』とは

『個別事情を反映した結果』

い 法則化・法則の適用

妥当な結果になるように法則が作られているはず
妥当な結果になっていない場合
→法則化のどこかが適切ではない
→法則を改良すべき状態である(後記)

う 法則化しない場合の判断過程

個別的事情を評価・考慮する
→反映した結果を導き出す

『法則化』と『法則化しない場合』は同じ流れと言えます。
違いは,判断プロセスを明確化,記述(記録化)したかどうか,ということです。
『暗黙知と形式知の違い』と言っても良いでしょう。

『法則化しない場合』でも,判断過程は『存在する』ということです。
そうであれば,可能な範囲で判断過程を明確化した方がベターです。
『再現性→公平性』確保,というメリットが得られます。

3 『法則化』→妥当な結果にならない要因

『法則化』が妥当な結果に結びつかない場合(前述)の要因をまとめます。

<法則化が妥当な結果を導けない要因>

あ 設定したファクターが不足している

『考慮要素不足』という状態

い 設定した過程(関数)が適切ではない

いずれにしても法則自体を改良・変更する必要があります。

4 『法則化』により『ランダム要素・不公平』を回避できる

『法則化』をしないと判断に『ランダムの要素が入る』ことにつながります。
考慮要素が明確ではないからです。
例えば,裁判の前から結果の予測の精度が低い,という状態です。
もちろん,いくら『法則化=法律の規定の明確化』をしても不確定要素は排除できません。
とにかく可能な限り予測可能性の精度が高い方が望ましいでしょう。

5 『法則』使用上の注意=過度の依存

マニュアルや法則を利用・活用する者の心理への影響もあり得ます。

<マニュアル・法則の利用者が陥りやすいネガティブ状態>

依存的傾向
→『明示された要素』以外の考慮要素を排除してしまう

常に法則・マニュアル自体の妥当性に『疑いの目』を持つことが必要です。
法律であれば,法解釈の時に『結果の妥当性』が理由として活かされます。

6 帰納の欠点|参考情報

事象を法則化することは『帰納』という方法です。
これに対する学術的な理論があります。
本記事の内容と同じ趣旨とも言えるものです。

<帰納の欠点>

あ 事実の理論負荷性

byノーウッド・ラッセル・ハンソン

い 帰納の飛躍

byジョン・スチュワート・ミル

う 簡潔性原理の前提

ここではこれらの内容については省略します。

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