【空家対策特別措置法|基本|目的・『特定空家』の定義・調査・情報利用】
1 空家対策特別措置法の制定
2 空家対策特別措置法|目的=弊害の解消
3 『空家等』|定義|特定空家の定義の一部分
4 『特定空家等』|定義|多くの規定の前提部分
5 『特定空家』の判断・認定基準|ガイドライン
6 市町村の調査権|固定資産税情報取得+立入調査
7 市町村の空家情報利用権|目的外利用ができる
8 市町村による空家の解体など|助言・勧告・行政代執行
9 市町村×空家|努力義務|空家データベース・情報提供
1 空家対策特別措置法の制定
空家の増加は社会的な問題となっています。
詳しくはこちら|空家・土地放置問題|弊害・原因・所有者のコスト・責任
空家問題の解消に向けて,空家対策特別措置法が制定,施行されました。
<『空家等対策の推進に関する特別措置法』|成立・施行>
あ 成立(公布)日
平成26年11月19日可決→成立
い 施行時期
ア 本体→平成27年2月26日イ 関連規定→平成27年5月26日 ※附則1条
2 空家対策特別措置法|目的=弊害の解消
空家対策特別措置法の目的についてまとめます。
<空家対策特別措置法|目的>
あ 空家の弊害
適切な管理が行われていない空家
→地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしている
例;防災・防犯・衛生・景観など
詳しくはこちら|空家・土地放置問題|弊害・原因・所有者のコスト・責任
い 空家対策特別措置法の目的
ア 地域住民の生命・身体・財産を保護するイ 生活環境を保全するウ 空家の活用を促進する ※空家対策特別措置法1条
3 『空家等』|定義|特定空家の定義の一部分
空家対策特別措置法の基本部分として『空家等』の定義があります。
『特定空家等』の定義の前提となっています。
<『空家等』|定義>
次のいずれにも該当するもの
ア 建築物orこれに附属する工作物
敷地を含む
イ 使用がなされていないことが常態である
主な『使用』の例=居住
※空家対策特別措置法2条1項
4 『特定空家等』|定義|多くの規定の前提部分
『特定空家等』の定義をまとめます。
メインとなる多くのルールの前提となる重要な定義です。
<『特定空家等』|定義>
あ 基本的部分
次のいずれにも該当する
ア 『空家等』に該当するイ 周辺の生活環境の保全上,放置することが不適切な状態にある
い 『放置することが不適切』の例示
ア 著しく保安上危険となるおそれのある状態イ 著しく衛生上有害となるおそれのある状態ウ 著しく景観を損なっている状態
この判断・認定基準はガイドラインが作られている(後記)
※空家対策特別措置法2条2項
5 『特定空家』の判断・認定基準|ガイドライン
『特定空家』の基準は規定されていますが,ちょっと曖昧です(前記)。
この点,国土交通省で判断・認定のための細かい基準が作られました。
ガイドラインとして公表されています。
<『特定空家』の判断・認定基準|ガイドライン>
あ タイトル
特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)
い 作成
平成27年5月26日
国土交通省
う オリジナル
6 市町村の調査権|固定資産税情報取得+立入調査
市町村は空家の解消に向けた権限が与えられました。
まずは『調査権限』です。
<市町村の調査権>
あ 対象
特定空家等
い 調査権限
当該法律の施行のために必要な調査
空家への立入調査も含まれる
う 具体的な調査|例
固定資産税課税台帳の情報取得
→空家の所在・空家の所有者を把握する
※空家対策特別措置法9条
え 立入調査に関する罰則
立入調査の拒否・妨害・忌避
法定刑=過料20万円以下
※空家対策特別措置法16条2項
7 市町村の空家情報利用権|目的外利用ができる
市町村が空家に関する情報を取得した後の利用についての規定です。
<市町村の空家情報利用権>
あ 利用できる情報
当該市町村・他の地方自治体が保有する情報
例;固定資産税課税台帳上の所有者の氏名・住所
い 利用権
市町村は本来の利用目的以外の目的のために利用できる
関係する地方自治体に対して開示請求をすることができる
※空家対策特別措置法10条
8 市町村による空家の解体など|助言・勧告・行政代執行
空家対策特別措置法には空家の解体などによる解決を促進する制度もあります。
助言・勧告・措置命令・行政代執行などの手続です。
従来も同様の制度はありましたが『使いにくい』ものだったのです。
手続が,使いやすく改良されています。
内容については別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|空家対策特別措置法|空家解体|助言・指導・勧告・措置命令・行政代執行
9 市町村×空家|努力義務|空家データベース・情報提供
市町村の努力義務も規定されています。
間接的に空家の活用を促進するような内容です。
<市町村×空家|努力義務>
あ 空家データベースの整備
市町村は,空家のデータベースを整備を行うよう努力する
※空家対策特別措置法11条
い 空家・跡地の活用
市町村は,次の事項を努力する
ア 空家・その跡地に関する情報の提供イ 活用のための施策実施
※空家対策特別措置法13条
空家問題の解消・空家の有効活用では『情報』が重要です。
これについては別記事で説明しています。
行政サイドで『空き家バンク』として情報の収集・提供をする実例もあります。
もちろん,民間も含めて『マッチング』を提供するサービスもあります。
また,空家の解体や改修の費用の補助金制度も作られてきています。
詳しくはこちら|空家問題→有効活用による解消|コンテンツ発掘・地域復興・民事信託
詳しくはこちら|空家問題|需給のマッチング・空き家バンク・空家情報のマーケット化
詳しくはこちら|空家問題|税制改正・補助金|課税の優遇措置除外・解体・改修補助金