【一般建物/空家解体・行政代執行|比較|公益性の要件の有無】
1 放置された空家×行政代執行|制度の変化
2 空家解体×行政代執行|一般的建物
3 空家解体×行政代執行|特定空家
4 行政代執行|空家/一般|比較
1 放置された空家×行政代執行|制度の変化
放置された空家を市区町村が解体を実行・強行する手続があります。
『行政代執行』という手続です。
空家の行政代執行については,平成26年に新たな制度が作られました。
従来と新たな制度のそれぞれの内容は別記事で説明しています。
詳しくはこちら|一般建物/空家解体・行政代執行|比較|公益性の要件の有無
詳しくはこちら|空家対策特別措置法|空家解体|助言・指導・勧告・措置命令・行政代執行
本記事では『行政代執行』について,従来と新たな制度の変化・比較を説明します。
まずは制度の変化についてまとめます。
<放置された空家×行政代執行|制度の変化>
あ 行政代執行
保安上危険・衛生上有害の程度が大きい場合
→行政が解体を実行する制度がある
い 制度のリニューアル
ア 従前|建築基準法+行政代執行法イ 平成26年空家対策特別措置法制定
新しい制度が作られた
これにより実施のハードルが一気に下がった
変化=ハードルが下がった内容,については順に説明します。
2 空家解体×行政代執行|一般的建物
空家対策特別措置法の制定以前の建物の解体の行政代執行の制度の特徴をまとめます。
<空家解体×行政代執行|一般的建物>
あ 制度
建築基準法による『除去命令』+行政代執行法
い 実現のハードル|公益性の要件
『公益性の要件』を満たすことが必要であった
法令・判例による判断基準の具体化がほとんどなかった
→この要件の認定が難しかった
※行政代執行法2条
う 実現のハードル|コスト負担
建物解体に要する費用はいったん行政が負担する
その後,行政から所有者に請求できる
→回収できない傾向が強かった
この従来の制度は『空家』に限られるものではありません。
3 空家解体×行政代執行|特定空家
空家対策特別措置法によって新たに作られた行政代執行の特徴をまとめます。
<空家解体×行政代執行|特定空家>
あ 制度
空家対策特別措置法に制度がまとめられた
『特定空家』の定義に該当する場合に適用される
い 実現のハードル|公益性の要件
『公益性の要件』が不要になった
→実務的に利用することが容易になった
※空家対策特別措置法14条3項
う 実現のハードル|コスト
行政が固定資産税に関する調査権を付与された
空家所有者の『他の財産』を把握することにつながる
→コスト回収の可能性が上がった
4 行政代執行|空家/一般|比較
建物除却についての行政代執行には以上の2種類があります。
大きな違いは『公益性の要件』です。
この『違い』をまとめます。
<行政代執行|空家/一般|比較>
制度の種類 | 対象物件 | 一般代執行 | 略式代執行 |
一般的な建物解体 | 建物一般 | 公益性要件あり | 公益性要件あり |
空家対策特別措置法 | 『特定空家』のみ | 公益性要件なし | 公益性要件なし |
『公益性要件』の内容については別記事で説明しています。
詳しくはこちら|空家対策特別措置法|空家解体|助言・指導・勧告・措置命令・行政代執行
現在では『特定空家』だけは要件が緩和された制度が利用できます。
逆に『特定空家』に該当しない建物は,現在でも従来の制度を用います。