【床面積×算出方法|内法/壁芯|誤解→トラブル|公的補助・住宅ローン】

1 床面積×2種類の算出方法→トラブル
2 床面積×算出方法|内法/壁芯
3 面積算出方法×利用される場面による違い
4 面積算出方法×生じる『差』|相場
5 公的補助×面積算出方法
6 住宅ローン審査×面積算出方法
7 広告×面積算出方法

1 床面積×2種類の算出方法→トラブル

建物を購入する時には『床面積』で広さが把握できます。
『床面積』は2種類の算出方法があります。
ここで『誤解』が生じてトラブルにつながることも多いです。
本記事では床面積の算出方法に関する問題を説明します。

<不動産売買×床面積の算出方法|トラブル|全体>

あ 床面積の誤解

買主が想定した広さがなかった

い 減税措置

想定した『減税措置』を受けられなかった

う 住宅ローン審査

住宅ローンの審査が承認されなくなった
『ローン特約による解除』が問題に発展することもある

2 床面積×算出方法|内法/壁芯

2種類の床面積の算出方法をまとめます。

<床面積×算出方法|内法/壁芯>

あ 内法面積;うちのりめんせき

対象部分の『内側』を測って面積を算出する
実際の居住スペースとして占有できる面積となる

い 壁芯面積;かべしんめんせき

壁・柱の厚みの中心線を使って面積を算出する
実際には占有できない『壁の厚み』も加算される

同じ床面積でも算出方法によって実際には違いがあるのです。
ややこしいのですが,両方が使われています。
というのは『利用する場面』によってどちらも使われているのです。

3 面積算出方法×利用される場面による違い

利用される場面によって利用される『面積算出方法』をまとめます。

<面積算出方法×利用される場面による違い>

あ 実際の利用|まとめ
面積を使う場面 使われる算出方法
不動産登記 内法面積
建築基準法・建築確認 壁芯面積
公的補助 内法面積(※1)
広告 決まりはない(※2)
い 広告×算出方法の選択

法律上のルールはない
一般的には『大きく表示する』傾向が強い
→『壁芯面積』が利用されることが多い
買主が『内法面積』と誤解するトラブルにつながる

建築基準法の確認申請については別記事で説明しています。
詳しくはこちら|建築確認|審査内容=建築基準法等の適合性|審査の流れ|建設主事・特定行政庁

4 面積算出方法×生じる『差』|相場

面積の算出方法によって実際に生じる『差』の目安をまとめます。

<面積算出方法×生じる『差』|相場>

あ 壁の種類×厚さ|相場
マンションの高さ 壁の種類 壁の厚さ
15階程度まで 湿式壁=コンクリート 180〜200mm
15階程度を超える 乾式壁=石膏ボード+吸音材 136〜150mm
い 壁の工法×厚さ

壁の工法によってはさらに100mm程度増えることがある

う 算定方法×面積の違い|相場

前提=一般的平均的な分譲マンション
『内法/壁芯面積』の違い=約3〜5平方メートル程度

5 公的補助×面積算出方法

公的補助の手続で『床面積』が使われます。
ちょっと複雑なので『使われる算出方法』をまとめます。

<公的補助×面積算出方法(上記※1)>

あ 住宅ローン減税×床面積

公的補助の代表例に『住宅ローン減税』がある
条件の中に面積に関するものがある

い 床面積の条件

床面積が50平方メートル以上

う 面積算出方法
対象建物 面積算出方法
マンション 内法面積
一戸建て 壁芯面積

このように基本的なルール自体が『誤解を生じやすい』と言えます。
面積について生じた誤解がトラブルにつながる例は次にまとめます。

6 住宅ローン審査×面積算出方法

公的補助に関する『床面積』に誤解が生じることがあります(前記)。
この場合に発展する具体的トラブルの典型例を紹介します。

<住宅ローン審査×面積算出方法>

あ 住宅ローン減税×返済可能性

住宅ローン減税が受けられない場合(前記)
→想定していたとおりの返済が困難となる

い 審査の不承認

返済可能性が十分ではないと判断される場合
→審査が承認されない

う ローン特約の適用の有無

ローン特約に関する問題に発展することもある
=『ローン特約による解除』ができるかどうか
詳しくはこちら|ローン特約|全体・基本|内容・法的分類・トラブルの種類

7 広告×面積算出方法

仲介業者の広告の中でも『床面積』は表示されます。
買主候補者にとっては非常に重要な情報です。
しかし広告で表示する床面積の算出方法については決まりがありません。

<広告×面積算出方法(上記※2)>

あ 表示方法のルール

『壁芯/内法』を明記するという規定はない

い 公正競争規約

中古マンションの場合
→『登記上の面積=内法面積』を表示できる
→壁芯面積も許容されている
※不動産の表示に関する公正競争規約施行規則10条15項

結局『壁芯/内法面積』の『どちらでも良い』ということになります。
もちろん,誤解を生じたまま契約を締結した場合の救済措置もあります。
錯誤による契約の無効や説明義務違反による損害賠償などです。
これらについては別記事で説明しています。
詳しくはこちら|売買契約の説明不備・誤解→契約解消・損害賠償|まとめ
また公正競争規約の全般的な内容も別記事で説明しています。
詳しくはこちら|不動産取引における不正な表示|景品表示法・公正競争規約

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