【ペットの放し飼い×法的責任|全体|被害の典型・判例】
1 放し飼いペット×被害|法的構成
2 放し飼いペット×被害|典型例
3 放し飼いペット×被害|立証ハードル
4 放し飼いの猫×糞尿被害→立証できず|判例
5 猫×放し飼い|時代変化|環境省告示・基準
1 放し飼いペット×被害|法的構成
ペットに関するご相談・ご依頼をされる前に、次のことをご理解ください。よく考えてご了解いただいてから、お問い合わせくださいますようお願いします。
ペット相談・依頼の前提事項(押すと開く)
・多くの資料や調査が必要となること
・法律相談の相談料は30分1万1000円、最低限2万2000円となること
・代理人交渉のご依頼の着手金は最低限33万円であり、ご依頼の時点でお支払いいただく必要があること
ペットの『放し飼い』については特有の法律問題があります。
まずは,理論的な法律構成を整理します。
<放し飼いペット×被害|法的構成>
あ 動物の占有者・所有者の責任
損害賠償請求
※民法718条,709条
い 人格権
加害ペットを撤去する請求
加害ペットを私有地に『立ち入らせない』請求
2 放し飼いペット×被害|典型例
放し飼いのペットによる被害の典型例をまとめます。
<放し飼いペット×被害|典型例>
あ マーキング
糞・尿による汚損
い 損壊系
ア 植木・鉢イ 自動車
う ひっかく系
エアコン室外機の配管
え 鳴き声
室内飼育よりも『被害者の近くで鳴く』ことが生じやすい
3 放し飼いペット×被害|立証ハードル
放し飼いのペットによる被害については『立証のハードル』があります。
<放し飼いペット×被害|立証ハードル>
あ 立証|ペットの特定
識別できる程度の特徴を列挙する
い 特定の要素|例
ア 品種イ 大きさウ 柄
う 立証|具体例
ア 加害動物を撮影した写真・動画イ 被害物品を撮影した写真・動画
4 放し飼いの猫×糞尿被害→立証できず|判例
放し飼いの猫の『特定』ができなかったという判例を紹介します。
立証ハードルの高さについて,分かりやすい事例です。
<放し飼いの猫×糞尿被害→立証できず|判例>
あ 事案
Aは戸建ての自宅において猫3匹を飼育していた
飼い猫は放し飼いにされていた
Bが住む隣家で猫の糞・尿による被害が生じた
い 訴訟提起
BはAに対して損害賠償請求・猫の撤去を請求した
う 立証
Bは,猫が撮影されている写真・ビデオを提出した
え 裁判所の判断|証拠評価
撮影された猫の色・柄がAの飼い猫とは異なっていた
BはAの飼い猫の特徴をよく知らなかった
近隣にはAの飼い猫以外の猫も徘徊していた
お 裁判所の判断|結論
加害猫の特定が不十分である
→請求は認められなかった
※東京地裁平成19年1月31日
5 猫×放し飼い|時代変化|環境省告示・基準
猫の飼育方法については,時代変化の影響があります。
<猫×放し飼い|時代変化|環境省告示・基準>
あ 時代背景
古来より『放し飼い』がよく行われていた
近年では住宅密集地が増えている
外部に出さない=室内飼育のケースが増えつつある
い 室内飼育の原則
環境省告示の基準において『室内飼育の原則』が示されている
詳しくはこちら|環境省告示『家庭動物飼養・保管基準』|猫
う まとめ
放し飼いが『違法』と規定されているわけではない
個別的状況によってトラブル時の責任判断がなされる