【ペットの死傷|判例|交通事故|死亡・後遺症|慰謝料・特殊事情】

1 交通事故・犬死亡|慰謝料5万円
2 交通事故・犬死亡|慰謝料10万円
3 交通事故・犬・後遺症|事案・後遺障害
4 交通事故・犬・後遺症|慰謝料40万円
5 交通事故・犬・後遺症|慰謝料・特殊事情
6 交通事故・犬・後遺症|過失相殺
7 交通事故・盲導犬死亡|事案
8 交通事故・盲導犬死亡|価値算定方法

1 交通事故・犬死亡|慰謝料5万円

ペットに関するご相談・ご依頼をされる前に、次のことをご理解ください。よく考えてご了解いただいてから、お問い合わせくださいますようお願いします。

ペット相談・依頼の前提事項(押すと開く)

・飼い主が受けた辛く悲しい苦痛に見合うほどの慰謝料(損害賠償)を得ることができない傾向があること
・多くの資料や調査が必要となること
・法律相談の相談料は30分1万1000円、最低限2万2000円となること
・代理人交渉のご依頼の着手金は最低限33万円であり、ご依頼の時点でお支払いいただく必要があること

ペットが死亡や負傷をした場合,損害賠償責任(慰謝料)が認められることがあります。
詳しくはこちら|ペット死亡・負傷|損害賠償|財産的損害×慰謝料|理論・基準
交通事故によってペットが死亡または負傷するケースもよくあります。
本記事では,そのようなケースで損害賠償(慰謝料)が認められた実例(裁判例)を紹介します。
最初に犬の死亡によって慰謝料5万円が認められた判例です。

<交通事故・犬死亡|慰謝料5万円>

あ 事案

Aが自動車を運転していた
酒気帯び・居眠りの状態であった
自動車が歩行者Bとその飼犬Cに衝突した
B・犬Cが死亡した

い 犬死亡・慰謝料

Bの夫が犬Cを長年家族同然に飼っていた
→飼主の慰謝料5万円を認めた
※東京高裁平成16年2月26日

2 交通事故・犬死亡|慰謝料10万円

愛犬の死亡についての慰謝料として10万円が認められた判例です。

<交通事故・犬死亡|慰謝料10万円>

あ 事案

交通事故により飼犬に次の死傷が生じた

犬種 被害
パピヨン 死亡
シーズー 坐骨骨折
い 裁判所の判断|損害賠償責任

パピヨンの死亡について
→次の賠償責任を認めた
項目 金額
財産的損害=市場価値 15万円
火葬費用 2万2000円
慰謝料 10万円
※大阪地裁平成18年3月22日

3 交通事故・犬・後遺症|事案・後遺障害

愛犬が死亡しなかったけれど『後遺症を負った』ケースを紹介します。
例外的に『慰謝料』が認められています。
まずは事案内容を整理します。

<交通事故・犬・後遺症|事案・後遺障害>

あ 交通事故

飼犬Aが交通事故に遭った
ラブラドールレトリバーであった
犬Aは次の後遺障害を負った

い 後遺障害

第2腰椎圧迫骨折→後肢麻痺
※名古屋高裁平成20年9月30日

4 交通事故・犬・後遺症|慰謝料40万円

前記の事案について裁判所の認めた賠償内容をまとめます。

<交通事故・犬・後遺症|慰謝料40万円>

あ 損害賠償責任|メイン
項目 金額
治療費 11万1500円
車いす製作料 2万5000円
慰謝料 夫婦合計40万円(後記※1
い 過失相殺

被害者の過失割合を1割とする(後記※2

う 弁護士費用

5万円を認めた
※名古屋高裁平成20年9月30日

5 交通事故・犬・後遺症|慰謝料・特殊事情

前記の事案で慰謝料が認められた理由をまとめます。

<交通事故・犬・後遺症|慰謝料・特殊事情(※1)

飼主夫婦には子供がいなかった
飼主は犬を我が子のように思って愛情を注いで飼育していた
犬は家族の一員のように,飼主にとってかけがえのない存在であった
飼犬Aは重い傷害を負った
→死亡した場合に近い精神的苦痛を飼主が受けた
※名古屋高裁平成20年9月30日

6 交通事故・犬・後遺症|過失相殺

前記の事案について,裁判所は過失相殺を認めました。

<交通事故・犬・後遺症|過失相殺(※2)

飼主は犬Aを車に同乗させていた
動物の体を固定するため措置を講じていなかった
例;犬用シートベルト
→過失割合は1割とする
※名古屋高裁平成20年9月30日

7 交通事故・盲導犬死亡|事案

交通事故により盲導犬が亡くなった悲しい事案です。
損害について細かく算定しているので参考になる判例です。
まずは事案内容をまとめます。

<交通事故・盲導犬死亡|事案>

トラックの運転手が操作ミスをした
トラックが歩行中の盲導犬に衝突した
盲導犬が死亡した
※名古屋地裁平成22年3月5日

8 交通事故・盲導犬死亡|価値算定方法

前記の事案について裁判所が行った価値算定方法をまとめます。

<交通事故・盲導犬死亡|価値算定方法>

あ 盲導犬の客観的価値|算定方法

客観的価値= 育成費用× 残余活動期間/フル活動期間
要するに『減価償却』の考え方である

い 育成費用

453万1037円と認めた

う 期間計算
項目 期間
盲導犬としてのフル活動期間 10年
残余活動期間 約5年
え 盲導犬の客観的な価値|結論

約453万円× 5/10
→260万円
※名古屋地裁平成22年3月5日

本記事では,交通事故によってペットが死亡または負傷したケースにおける損害賠償(慰謝料)が認められた実例(裁判例)を説明しました。
実際には,個別的な事情や主張・立証のやり方次第で結論が違ってきます。
実際にペットの死亡や負傷に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご理解くださるようお勧めします。

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