【売買×心理的瑕疵|判例|特殊事情・死以外|性風俗サービス営業】
1 死体放置→異臭・変色×心理的瑕疵|概要
2 性風俗店として使用×心理的瑕疵|事案
3 性風俗店として使用×心理的瑕疵|裁判所の判断
1 死体放置→異臭・変色×心理的瑕疵|概要
過去の人の死は『心理的瑕疵』に該当することがあります。
心理的瑕疵の判断では死因や死亡時期が重要です。
それ以外の個別的な特殊事情も大きく影響します。
特殊事情が考慮された判例を紹介します。
<死体放置→異臭・変色×心理的瑕疵|概要>
あ 特殊事情
死後,死体が長期間放置された
異臭発生・建物内部の変色が生じた
い 心理的瑕疵|一般論
『あ』の事情により『瑕疵』が認められることもある
う 判例・概要
競売において特殊事情があった
死因不明の死体が約4か月間放置されていた
→『売却許可取消』となった
※名古屋高裁平成22年1月29日
詳しくはこちら|競売×『人の死』発覚→売却不許可or売却許可取消|判断基準・事例
この判例は『競売』についての『売却許可取消』というものです。
一般的な売買での『瑕疵担保責任』でも判断は同様と言えるでしょう。
2 性風俗店として使用×心理的瑕疵|事案
心理的瑕疵の対象は『人の死』だけではありません。
死亡以外の『過去の事情』が心理的瑕疵として認められることもあります。
過去の『営業内容』が心理的瑕疵として認められた判例を紹介します。
まずは事案をまとめます。
<性風俗店として使用×心理的瑕疵|事案>
あ 経緯
建物の売買契約が締結された
その後『過去の建物の使用状況』が発覚した
性風俗的な営業が行われていた
い ノーマル|マッサージ業
アロマセラピーと称するマッサージ業
女性のアロマセラピストが施術する
芳香性のエッセンシャルオイルを顧客の身体に塗布する
マッサージを行う
う 裏オプション|性的サービス
男性の顧客の要望により
→性的サービスを行うこともあった
風営法上の『店舗型・無店舗型の性風俗特殊営業』に該当する
3 性風俗店として使用×心理的瑕疵|裁判所の判断
上記事案について,裁判所の判断をまとめます。
<性風俗店として使用×心理的瑕疵|裁判所の判断>
あ 事案の評価
相当長期間にわたって性風俗特殊営業に使用されていた
現在,建物の使用=居住により
→『通常人として耐え難い程度の心理的負担』を負う
建物の財産的価値を減少させる
い 結論
『瑕疵』に当たる
※福岡高裁平成23年3月8日