【共同抵当×代価の配当|イレギュラーな抵当権消滅】
1 共同抵当×代価の配当|抵当権の放棄
2 共同抵当×代価の配当|混同
1 共同抵当×代価の配当|抵当権の放棄
共同抵当では代価の配当というルールがあります。
詳しくはこちら|共同抵当×代価の配当|基本
この点,イレギュラーな事態で抵当権が消滅することがあります。
本記事では,このような場合の解釈論を説明します。
まずは『抵当権の放棄』の影響についてまとめます。
<共同抵当×代価の配当|抵当権の放棄>
あ 前提事情
共同抵当権者が一部の物件について『抵当権の放棄』を行った
残る物件について,抵当権が実行された
い 代位権者保護
『放棄がなかった場合に後順位抵当権者が代位し得た額』について
→配当において共同抵当権者は後順位抵当権者に優先できなくなる
※大判昭和11年7月14日
う 別の見解
他の見解を取る学説もある
後順位抵当権者を保護する方向性は一致している
※『新版注釈民法(9)』有斐閣p623〜
2 共同抵当×代価の配当|混同
『混同』により抵当権が消滅することがあります。
これによる影響についての解釈論をまとめます。
<共同抵当×代価の配当|混同>
あ 前提事情
共同抵当権者が抵当物件の1つについて所有権を取得した
→『混同』が生じる
→共同抵当権者の先順位抵当権は消滅する
※民法179条1項
い 代位権者の立場
混同が生じた物件以外の抵当物件の後順位抵当権者について
→保護されない
※大判大正11年12月28日
う 別の見解
他の見解を取る学説もある
※我妻栄『新訂担保物権法(民法講義3)』岩波書店p456
※柚木肇ほか『担保物権法 第3版』有斐閣p388