【共同抵当×代価の配当|第三取得者】
1 抵当物件の第三取得者の代位|基本
2 第三取得者の代位vs後順位抵当権者|事後取得
3 第三取得者の代位vs後順位抵当権者|事前取得
1 抵当物件の第三取得者の代位|基本
物上保証人の代位は認められています。
詳しくはこちら|共同抵当×代価の配当|物上保証人と後順位抵当権者の優劣
抵当物件を購入した者についても似たような状況と言えます。
『第三取得者』と呼びます。
物上保証人と第三取得者は似ていますが,解釈は異なる部分もあります。
これについて説明します。
まずは第三取得者の代位の基本的事項をまとめます。
<抵当物件の第三取得者の代位|基本>
あ 前提事情
債権者Aが共同抵当権を有していた
抵当物件=甲・乙不動産
乙不動産を第三取得者Dが購入した
い 代位弁済
Dが債権者に代位弁済した
DはAに代位する
※民法500条
2 第三取得者の代位vs後順位抵当権者|事後取得
第三取得者と後順位抵当権者の優劣が問題となります。
『取得』と『抵当権設定』の順序により結論が異なります。
まずは『取得が後』というケースについて整理します。
<第三取得者の代位vs後順位抵当権者|事後取得(※1)>
あ 前提事情
債権者Aが共同抵当権を有していた
抵当物件=甲・乙不動産
い 後順位抵当権設定
甲不動産にBの後順位抵当権が設定された
う 第三取得者
乙不動産をDが購入した
え 解釈論
後順位抵当権者Bの立場
=先順位抵当権について代位は生じないと期待して設定を受けた
→保護されるべき
→DはAに代位できない
※佐久間弘道『共同抵当の代価の配当についての研究』第一勧銀総合研究所p110参照
3 第三取得者の代位vs後順位抵当権者|事前取得
前記とは前後関係が逆のケースです。
つまり『取得が先』というケースの解釈論です。
<第三取得者の代位vs後順位抵当権者|事前取得>
あ 前提事情
前記※1と基本的に同様の事情を前提とする
ただし『い』よりも『う』が先であった
い 解釈論
第三取得者Dは代位できると期待していた
→保護されるべき
→DはAに代位できる
※佐久間弘道『共同抵当の代価の配当についての研究』第一勧銀総合研究所p110参照