【借地以外にまたがる建物の建物買取請求】
1 借地以外にまたがる建物の建物買取請求|基準
2 借地以外にまたがる建物の建物買取請求|事例
3 借地以外にまたがる建物と介入権行使(概要)
1 借地以外にまたがる建物の建物買取請求|基準
建物買取請求権は借地人を保護する重要な制度です。
しかし,特殊な事情があると認められないこともあります。
借地から建物がはみ出る状況がその典型例です。
まずは一般的な基準をまとめます。
<借地以外にまたがる建物の建物買取請求|基準>
あ 前提事情
所有者の異なる数筆の土地にまたがって建物が存在する
い 原則論
原則的に建物買取請求権は認められない
借地上以外の建物部分の所有権を放棄しても同様である
う 例外
借地上の建物部分が区分所有権の対象となる場合に限り
→建物買取請求権が認められる
※最高裁昭和42年9月29日
※最高裁昭和50年3月25日
2 借地以外にまたがる建物の建物買取請求|事例
上記の判例における事案内容を紹介します。
<借地以外にまたがる建物の建物買取請求|事例>
あ 土地・建物の状況
甲土地・乙土地上にまたがって丙建物が存在する
甲土地はAが所有している
乙土地・丙建物はBが所有している
甲土地についてはA・B間に借地契約がある
い 建物買取請求権の行使
BがAに対して建物買取請求権を行使した
う 裁判所の判断
建物買取請求権を認めなかった
※最高裁昭和50年3月25日
3 借地以外にまたがる建物と介入権行使(概要)
借地以外にまたがる建物は,別のテーマでも問題となります。
地主からの介入権行使でも同様の判断があります。
不都合が大きいために介入権行使が否定されるのです。
建物買取請求権と違うところもありますが,参考になります。
詳しくはこちら|借地権優先譲受申出(介入権)の基本(趣旨・典型例・相当の対価)