【わいせつ物陳列罪の基本と『わいせつ』の定義・判断基準】
1 わいせつ物陳列罪の基本的事項
2 『わいせつ』の定義と判断基準の3要件
3 わいせつ物/児童ポルノ公然陳列罪の比較(概要)
1 わいせつ物陳列罪の基本的事項
わいせつ物陳列罪の構成要件と罰則をまとめます。
<わいせつ物陳列罪の基本的事項>
あ 構成要件
わいせつ物を頒布or公然と陳列した
い 『わいせつ物』
わいせつな文書・図画・データを含むメディア
う 罰則|法定刑
懲役2年以下or罰金250万円以下or科料
懲役と罰金の併科あり
※刑法175条1項
実務では『わいせつ(物)』の範囲の解釈が問題となることが多いです。この解釈論については次に説明します。
2 『わいせつ』の定義と判断基準の3要件
わいせつ物陳列罪の『露出程度』については,『わいせつ』の概念,として判例の基準があります。
<『わいせつ』の定義と判断基準の3要件>
あ 『わいせつ』の定義
『い』の3つの要件を満たすもの
い わいせつの3要件
ア 徒に性欲を刺激・興奮させることイ 普通人の正常な性的羞恥心を害することウ 善良な性的道義観念に反すること ※最高裁昭和26年5月10日;サンデー娯楽事件
時代による社会の価値観の変化があるので明確化には一定の限界があります。
そうは言っても,この判例の基準では『不明確』であるとの批判が強くあります。
再現性の精度が非常に低いのです。
3 わいせつ物/児童ポルノ公然陳列罪の比較(概要)
わいせつ物陳列罪と似ている犯罪として『児童ポルノ公然陳列罪』があります。この2つの罪(構成要件)は,似ていますが,大きな違いもあります。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|児童ポルノ単純所持罪・公然陳列罪(基本・サーバー運営者の責任)