【債務名義の種類は確定判決・和解調書・公正証書(執行証書)などがある】

1 強制執行するためには一定のアイテム(債務名義)が必要

差押やその他の強制執行を行うためには、一定のアイテムが必要です。
これを債務名義と呼んでいます。
債務名義にあたるものの典型例は確定判決です。しかしそれ以外にも数多くのもの(種類)があります。
本記事では、債務名義に該当する多くの種類のもの(アイテム)を説明します。

2 民事執行法上の主な債務名義の種類

債務名義のうち基本的なものは民事執行法の条文に定められています。

民事執行法上の主な債務名義の種類

あ 確定判決
い 仮執行宣言のある判決
う 仮執行宣言付支払督促

詳しくはこちら|支払督促は簡易に債務名義を取得する手続

え 訴訟費用の負担の処分

訴訟費用、和解費用、非訟事件や家事事件の手続の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分
詳しくはこちら|民事訴訟法における訴訟費用の内容・負担者を決める裁判・訴訟費用額確定手続

お 公正証書(執行証書)

『執行認諾付公正証書』のこと
執行力を生じる対象は『金銭・有価証券の給付』だけである

か 確定判決と同一の効力を有するもの

いろいろな種類のものがこれに該当する(後記※1
※民事執行法22条1号〜7号

3 確定判決と同一扱いとなるもの(債務名義)の種類

民事執行法の債務名義の条文の最後に確定判決と同一の効力を有するものが規定されています(前記)。
これに該当するものはとても多いです。主なものをまとめます。

確定判決と同一扱いとなるもの(債務名義)の種類(※1)

あ 裁判所の和解調書

※民事訴訟法267条

い 認諾調書

※民事訴訟法267条

う 訴え提起前の和解

詳しくはこちら|訴え提起前の和解の基本(債務名義機能・互譲不要・出席者)

え 調停調書

※民事調停法16条

お 審判書(家事事件)

家事審判において給付命令(給付条項)は執行力がある
なお、強制執行の際、(単純)執行文は不要である
詳しくはこちら|家事審判における給付命令(家事事件手続法75条)

か 刑事和解・損害賠償命令

刑事事件の裁判における手続
※犯罪被害者保護法19条4項、33条5項
詳しくはこちら|刑事和解・損害賠償命令手続|刑事裁判の中で損害賠償を扱う

本記事では、債務名義の内容である多くの種類のもの(アイテム)を説明しました。
実際には、債務名義を、強制執行をするという本来的な方法以外のやり方で活用することも多いです。
実際に債務名義の取得や活用について検討されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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