【『旅館業』の定義・解釈|全体|4つのカテゴリ・共通部分】

1 『旅館業』の定義|共通事項
2 『旅館業』の定義|4つのカテゴリ
3 『旅館業』の定義|共通部分・分解
4 有料×解釈論|基本
5 有料×広告モデル
6 『人を宿泊させる営業』×解釈論
7 『営業』『反復継続』×解釈論

1 『旅館業』の定義|共通事項

本記事では『旅館業』に該当するかどうかの判断基準について説明します。
『旅館業』の基本的な法規制については別に説明しています。
詳しくはこちら|旅館業法の規制|基本・参入規制=許可制
まずは『旅館業』の定義のうち基本的な部分をまとめます。

<『旅館業』の定義|共通事項>

あ 共通事項

宿泊料を受けて,人を宿泊させる営業

い 4つのカテゴリ

サービスの内容によって4つの種類に分けられている(※1)

2 『旅館業』の定義|4つのカテゴリ

『旅館業』の定義のうち『カテゴリ別』の事項についてまとめます。

<『旅館業』の定義|4つのカテゴリ(上記※1)>

あ ホテル営業

施設=洋式の構造・設備を主とする
『簡易宿所営業』『下宿営業』以外のもの

い 旅館営業

施設=和式の構造・設備を主とする
『簡易宿所営業』『下宿営業』以外のもの

う 簡易宿所営業

施設=宿泊場所を『多数人で共用』する構造・設備を主とする
『下宿営業』以外のもの

え 下宿営業

1か月以上の期間を単位とする
※旅館業法2条1〜5項

このうち『簡易宿所営業』については厚生労働省が具体例を示しています。
また,『下宿』営業については一般用語との違いに注意が必要です。
これらについては別に説明しています。
詳しくはこちら|簡易宿所|多数人共用|基本|相部屋・個室比率|半分を超える
詳しくはこちら|下宿営業|定義・解釈|一般用語との違い

3 『旅館業』の定義|共通部分・分解

『旅館業』の定義のうち共通部分は解釈がちょっと複雑です。
要件を分解して整理します。

<『旅館業』の定義|共通部分・分解>

あ 『旅館業』の定義|共通部分

宿泊料を受けて,人を宿泊させる営業

い 要件の分解

ア 有料(※2)イ 人の『宿泊』(※3)ウ 『営業』→反復継続の意思など(※4)

分解した要件については次に説明します。

4 有料×解釈論|基本

『有料』の解釈はこれだけでも単純ではありません。
概要をまとめます。

<有料×解釈論|基本>

あ 有料|辞書的解釈

サービス利用の対価が金銭で支払われること
→『対価性』があるということ

い 有料×解釈論|概要

具体的な方式によっては『対価性』が曖昧となることもある(※5)
→明確・公的な判断基準はない

う 別の法律の解釈論×国土交通省通達

道路運送法の同様の解釈についての通達がある
詳しくはこちら|道路運送法|無償/有償・判断基準|国交省解釈・通達

5 有料×広告モデル

『有料』の判断が曖昧なサービスモデルはいろいろとあります。
ここでは代表的な『広告モデル』をまとめます。

<有料×広告モデル(上記※5)>

あ 宿泊客の金銭負担

宿泊客が直接ホストに支払う料金はゼロ

い 代わりの条件

宿泊客が広告の閲覧やメールアドレス・LINEの登録(友達追加)などをする

う 対価の流れ

広告主が広告料をホストに支払う
オンライン上で普及している『アフィリエイト』と似ている仕組みです。
この『広告モデル』であれば,宿泊客が支払う金銭はゼロです。
一方でホストは『金銭』を受け取ります。
これが『有料』に該当するかどうかは,明確・公的な見解がありません。
これは他の『有料(有償)業務を規制する業法』で共通する未解決問題です。

6 『人を宿泊させる営業』×解釈論

定義の中で『人を宿泊させる営業』という要件があります(上記※3)。
いわゆる『宿泊サービス』の定義です。
一般的な『賃貸借』などの『場所を貸すサービス』と区切る基準となります。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|『旅館業』の定義・解釈|人を宿泊させる営業|基本

7 『営業』『反復継続』×解釈論

定義の中で『営業』『反復継続』という要件があります(上記※4)。
実際には,境界に曖昧なところがあります。
最近の通達も含めて断片的な解釈論がいろいろとあります。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|旅館業の定義|『営業』解釈論

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