【賭博罪・賭博場開張図利罪の基本(条文と解釈・具体的種目)】
1 賭博罪・賭博場開帳利得罪の規定内容
2 賭博罪|構成要件・基本
3 賭博罪×技術介入性|あまり考慮されない
4 『賭博罪』に該当するとされた種目
5 賭博罪×一時娯楽物|少額の物品は除外
6 賭博場開張図利罪|基本
1 賭博罪・賭博場開帳利得罪の規定内容
『賭博』や『賭博場の運営』は犯罪となります。
最初に,賭博罪に関係する罪の条文の規定と内容を整理したものをまとめます。
<賭博罪・賭博場開帳利得罪の規定内容>
あ 条文規定(引用)
(賭博)
第一八五条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第一八六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
い 規定内容のまとめ
罪名 | 法定刑 | 条文(刑法) |
(単純)賭博罪 | 罰金50万円以下or科料 | 185条本文 |
常習賭博罪 | 懲役3年以下 | 186条1項 |
賭博場開張図利罪 | 懲役3か月以上5年以下 | 186条2項 |
大きく分けると『賭博行為そのもの』と『賭博場の開帳』に分けられます。
まずは『賭博そのもの』つまり『賭博罪』について説明します。
最後に『賭博場開帳』に関して説明します。
2 賭博罪|構成要件・基本
賭博罪の条文には対象行為として『賭博』としか表記されていません。
判例における『賭博』の解釈論・具体例をまとめます。
<賭博罪|構成要件・基本>
あ 『賭博』解釈論
『偶然の支配』による財物の得喪
技量・実力により結果(勝ち負け)がある程度『支配』されていても除外されない
※刑法186条1項
い 一時娯楽物
『一時の娯楽に供する物』を賭けた場合
→賭博罪には該当しない
※刑法186条1項ただし書
3 賭博罪×技術介入性|あまり考慮されない
ある遊技・勝負に『技術が介入する』ということもあります。
この場合,純粋な『偶然』ではないと言えます。
そうすると『賭博』に該当しないとも思えます。
この解釈論については多くの判例が判断を示しています。
詳しくはこちら|射幸心・技術介入性×賭博罪・風俗営業法
4 『賭博罪』に該当するとされた種目
実際に『賭博罪』に該当する・成立する,とされた種目を紹介します。
<『賭博罪』に該当するとされた種目>
囲碁 | 大判大正4年10月16日 |
麻雀 | 大判昭和6年5月2日 |
将棋 | 大判昭和12年9月21日 |
囲碁・将棋は『理論的には技術のみ・偶然の要素ゼロ』とも思えます。
しかし体調なども含めて『偶然』の要素がある,と判断されているのです。
5 賭博罪×一時娯楽物|少額の物品は除外
賭博罪の条文では『一時の娯楽に供する物』は除外されています。
要するに少額の品物を賭けることは適法とされているのです。
当然,どの範囲で『一時娯楽物』に含まれるか,という解釈論があります。
多くの判例については別に説明しています。
詳しくはこちら|賭博罪の適用除外となる『一時娯楽物』の判断基準・具体例・判例
6 賭博場開張図利罪|基本
以上の説明は『賭博罪』に関するものでした。
いわば『ギャンブルをした人』への罰則です。
一方で『賭博場の運営』側も犯罪とされています。
<賭博場開張図利罪|基本>
あ 構成要件
次のいずれかに該当する行為
ア 賭博場を開張し利益を図ったイ 博徒を結合して利益を図った
い 法定刑
懲役3か月以上5年以下
※刑法186条2項
要するに,『賭博(罪)』が成立することを前提に,そのイベントや店舗を主催した者,ということです。