【みなし解散|休眠会社=登記の放置の整理|平成26年11月実施】
1 『みなし解散』の制度趣旨|法人登記の放置(休眠)を整理する
2 みなし解散は12年ごとに行なわれる|今回は平成26年に実施
3 みなし解散の対象=休眠会社・休眠一般法人
4 みなし解散の手続の流れ|公告・通知→『みなし解散』登記
5 動いている会社が『みなし解散』として扱われるとデメリットが多い
1 『みなし解散』の制度趣旨|法人登記の放置(休眠)を整理する
会社法などで役員の最大の任期が設定されています。
役員の任期が満了すると,別の役員が選任されるか,同一役員が継続(重任)することになります。
どちらにしても『役員変更登記』をすることになります(後述)。
しかし,『登記がなされないまま』という会社も多いです。
要するに『会社としての活動・実態がなくなっている』『登記が放置されている』というものです。
そのため,一定の期間ごとに法務局が職権で『解散登記』をする制度があります。
『みなし解散』という手続です。
2 みなし解散は12年ごとに行なわれる|今回は平成26年に実施
『みなし解散』は全国で一斉に行なわれております。
前回は平成14年で,今回平成26年に行なわれます。
<みなし解散|過去の実行時期>
・昭和49年
・昭和54年
・昭和59年
・平成元年
・平成14年
・平成26年(今回)
3 みなし解散の対象=休眠会社・休眠一般法人
<みなし解散の対象=休眠会社・休眠一般法人>
あ 休眠会社
最後の登記から12年を経過している株式会社(特例有限会社を除く)
※会社法472条
い 休眠一般法人
最後の登記から5年を経過している一般社団法人・一般財団法人(『公益』社団・財団法人を含む)
※一般社団法人及び一般財団法人に関する法律149条,203条
休眠会社について『12年』が基準となっているのは,役員の任期の最大が10年となっているからです。
つまり,最大でも『10年に1回』は登記が行われるはず→それ以上登記がないと『休眠』と判断される,ということです。
別項目|取締役,監査役は任期ごとに変更登記が必要
4 みなし解散の手続の流れ|公告・通知→『みなし解散』登記
<休眠会社・法人|みなし解散|手続の流れ>
あ 対象会社・法人の判断時点
平成26年11月17日の時点
↓
あ 法務局;公告+通知
↓
い 会社・法人;『まだ事業を廃止していない』旨の届出or登記申請
オンラインによる届出はできない
※商業登記規則101条,一般社団法人等登記規則3条
↓
う 法務局;『過料事件の通知』
届出or登記申請が行われた場合
→登記官から裁判所に『過料事件の通知』が行われる(と予想される)
『過料』=登記申請を怠っていたペナルティ
※商業登記規則118条,商業登記等事務取扱手続準則81条
※平成14年7月8日法務省民商第1647号通達第1,9
↓
え 法務局;みなし解散登記の実行
平成27年1月19日(月)
届出なしの場合,『1月20日付;みなし解散の登記』が実行される
↓
お 会社・法人;『継続』
みなし解散登記の3年後まで
株式会社→株式会社の特別決議
一般社団法人・一般財団法人→社員総会or評議委員会の特別決議
↓
か 会社・法人;『継続』の登記申請
2週間以内
5 動いている会社が『みなし解散』として扱われるとデメリットが多い
仮に平成26年11月17日に『休眠会社・法人』に該当すると,法務局の『公告・通知』が行なわれます。
その後に届出か新たな登記申請があれば,『みなし解散登記』はされずに済みます。
しかし『過料事件通知』が行なわれ,『過料』としてのペナルティの金銭を課される可能性が生じます。
また,届出・登記申請をせずに平成27年1月19日を経過すると,『みなし解散の登記』が実行されます。
その後も,『継続』の決議+登記申請をすれば,『会社は消滅しない』ということになります。
ただ,いずれにしても一定の手続・余分なコストが必要ということになるのです。
このような手間・不利益を避けるためにも,平成26年11月17日の時点で『登記不備状態』を脱しておくと良いでしょう。
つまり,『遅れていた役員選任登記』を済ませる,ということです。
なお,この場合でも『登記申請期限を守らなかった』ということに変わりはありません。
『過料』の対象になります。
ただし,『みなし解散の公告・通知がされた』という状態よりは実際に課される可能性が低いです。
いずれにしても,『是正』するなら少しでも早い方が良い,ということです。
<参考情報>
月報司法書士14年10月p82〜