【仲介業者の不正|全体|片手と両手・両手の誘惑・ダブル両手】
1 不動産流通業界×問題点・不正手法|全体
2 手数料上限張り付き現象|概要
3 仲介の『片手』と『両手』
4 両手の誘惑×不正|全体
5 ダブル両手|リノベ転売ルート
6 囲い込み・双方受託以外の不正手段|概要
1 不動産流通業界×問題点・不正手法|全体
不動産売買の流通業界では以前から構造的な問題があります。
要するに不動産仲介の不正・悪質行為です。
まずは不正行為のメニューをまとめます。
<不動産流通業界×問題点・不正手法|全体>
あ 手数料上限張り付き現象
法律上の『上限』が『定価』のように扱われている
い 両手狙い→囲い込み
買主から依頼を受けた仲介からの問い合わせを断る
う 手抜きMAX作戦=干す+値こなし
売値を下げると手間をかけずに売れる
そこで『売値を下げる』近道を選択する
え 直接的利益横取り=コンサル料
本来の『代金』の一部を仲介業者が受け取る手法
お 超強力集客=買いカード捏造
対象物件の購入希望者をリアルに捏造する
か 超強力集客=値下げ前提の『手数料無料』
『手数料無料』の代わりにそれ以上に売主が不利になる
き 仲介×不正|本質的構造=利益相反
売主・買主の両方から仲介の依頼を受けること
→本質的に依頼者の利益が侵害される構造となっている
く 結果面・社会的現象=空家増加助長
空家の増加につながっている
マーケットの相場・金額が分散している
以上の典型的な不正行為はどれも大胆であり巧妙とも言えます。
2 手数料上限張り付き現象|概要
仲介手数料は法律上『上限』が規定されています。
実際には『上限』が『標準額』のような位置付けになっています。
最近,この不当な状況に変化が生じ始めています。
この問題については別に説明しています。
詳しくはこちら|仲介手数料×上限張り付き現象|実質カルテル・ソフト詐欺状態・悪習打破
3 仲介の『片手』と『両手』
前述の仲介手数料の上限は『当事者1名』から受け取る手数料が前提です。
ということは,両方の当事者から受け取る,という場合は『上限が2倍』となるのです。
この点,仲介業者が『両方の当事者から手数料を受け取る』方式もあります。
<仲介の『片手』と『両手』>
あ 片手仲介
元付・買付の仲介業者が異なる
い 両手仲介
1社の仲介業者が元付かつ客付である
=買主・売主の両方から依頼を受ける
→買主・売主の両方から仲介手数料を受け取れる
→『両方の手数料』から『両手』というネーミングになった
この構造がさまざまな不正を協力に誘引しています。
4 両手の誘惑×不正|全体
『両手』が不正を生み出す構造をまとめます。
<両手の誘惑×不正|全体>
あ 両手→不正ブースター現象
両手仲介は仲介業者にとっては魅力である
→両手仲介の志向が強い
※岡本正治ほか『全訂版詳解不動産仲介契約』大成出版社p73
い 囲い込み|概要
『もう1社の宅建業者』の介入を防ぐ傾向が生じる
『囲い込み』と呼ばれる伝統的手法である
詳しくはこちら|囲い込み|原因=両手の誘惑|具体的方法
う 双方受託・問題|概要
1つの仲介業者が当事者双方から受託をすること
→当事者双方+仲介業者自身の利害が対立する
→不正を誘発する構造である
詳しくはこちら|両手仲介・双方受託|メカニズム|矛盾発生・利益相反→裏切り
5 ダブル両手|リノベ転売ルート
『両手』は大きな手数料収入が生じます。
これがさらに2倍になることも生じます。
<ダブル両手|リノベ転売ルート>
あ 基本
不動産の売買ルートによって
→『両手』が2回繰り返されることもある
仲介手数料は合計でおおよそ12%ということになる
い ダブル両手|売買ルート
当初の所有者
→リノベーション業者
→エンドユーザー
う 要約
リノベーション業者が『転売』した
なお,このダブル両手が何か別の不正を誘引するというわけではありません。
『両手』のバリエーションの1つとして紹介しました。
6 囲い込み・双方受託以外の不正手段|概要
囲い込みや双方受託以外の不正手段については別の記事にまとめてあります。
詳しくはこちら|仲介業者の不正|干す+値こなし|コンサル料|買いカード捏造
<参考情報>
『週刊ダイヤモンド』2015年3月7日p51〜
『週刊ダイヤモンド』2015年4月11日p102〜
『週刊ダイヤモンド』2015年4月18日p8〜