【道路運送法|無償/有償・判断基準|国交省解釈・通達】
1 国土交通省・見解|無償/有償・判断|通達
2 国交省通達|無償/有償|判断基準|無償のカテゴリ
3 任意の謝礼→有償ではない
4 換価困難な財物→有償ではない
5 実費の負担のみ→有償ではない
6 公費負担=ユーザー負担なし→有償ではない
7 施設利用者の無料送迎→有償ではない
8 ユーザー所有車による運送→有償ではない
1 国土交通省・見解|無償/有償・判断|通達
道路運送法では自動車を使ったサービスが規制されています。
詳しくはこちら|旅客自動車運送事業(タクシーなど)の規制の全体像
詳しくはこちら|自家用自動車の有償運送の禁止
詳しくはこちら|自家用自動車の有償貸渡(レンタカー)の規制(基本)
規制は『有償』であるものだけが対象となっています。
実際に『有償/無償』の判断が曖昧なサービス・モデルもあります。
『有償/無償』の判断基準について,国土交通省が事務連絡を出しています。
<国土交通省・見解|無償/有償・判断|通達>
あ タイトル・日付
道路運送法における登録又は許可を要しない運送の態様について
平成18年9月29日事務連絡
自動車交通局旅客課長
い ソース
あくまでも行政の判断です。
裁判所を拘束するものではありません。
詳しくはこちら|通達の意味・種類・法的性質(国民・企業・裁判所への法的拘束力)
とは言っても実務的には非常に有力な解釈基準です。
また,他の業法における『有償/無償』の判断にも流用されます。
本記事では以下,この通達の内容を説明します。
2 国交省通達|無償/有償|判断基準|無償のカテゴリ
『無償』と判断されるサービス・モデルのカテゴリが5つ示されています。
<国交省通達|無償/有償|判断基準|無償のカテゴリ>
あ 任意の謝礼
い 換価困難な財物
う 実費の負担のみ
え 公費負担=ユーザー負担なし
お 施設利用者の無料送迎
か ユーザー所有車による運送
3 任意の謝礼→有償ではない
形式的な対価支払があっても『任意』であるケースです。
<任意の謝礼→有償ではない>
あ 基本的構造
ユーザーからの給付が『行為に対する任意の謝礼』と言える場合
=対価支払の『要求・請求・合意(約束)』がない
→有償ではない
い 謝礼に該当する=有償ではない|具体例
ア 家事援助等のサービス後,たまたま用務先が同一方向にあり懇願されて同乗させた
→ユーザーの自発的な気持ちから金銭の支払いが行われた場合
イ 過疎地において,交通手段を持たない高齢者を週に1回程度,近所の者が買い物等に乗せて行っている
→ユーザーが,日頃の感謝などから金銭の支払いが行われた場合
う 謝礼に該当しない=有償である|具体例
ア 予め運賃表などを定め,それに基づき金銭の収受が行われる場合 →少額の金銭であっても『任意の謝礼』には該当しない=有償である
え 利用者が『会費』を支払う場合の判断|例
ア 会の運営全般に要する経費として収受されている
→『有償』ではない
イ 『会費』が,運送に対する反対給付の関係が特定される
→『有償』である
例;『会費』の全部or一部によって運送サービスの提供に必要なコストが負担されている
お 名称は関係ない
例;『協賛金』『保険料』『カンパ』
4 換価困難な財物→有償ではない
対価を渡しても,その内容によっては『無償』扱いとなります。
<換価困難な財物→有償ではない>
あ 基本的構造
次のいずれかの給付は『有償』ではない
ア 金銭的な価値の換算が困難な財物イ 流通性の乏しい財物
い 『換価困難』の典型例
自宅で取れた野菜を定期的に手渡す場合
→『有償』ではない
う 『換価可能』の典型例
金券・貴金属類・金貨・絵画・希少価値を有する物品など
→『有償』である
具体例;商品券・図書券・ビール券など
え 地域通貨システムの判断
ア システム内容
一定の『ボランタリーな協力』に1時間1点を付与・積み立てる
→運送サービスの対価として使用する形態
イ 『サービスの交換』にとどまる場合
→『有償』ではない
ウ 点数を金銭で購入できる場合
→『有償』となることもある
例;『寄付金』・有料で点数チケットを購入するシステム
エ 点数により交換できるものの性質
交換可能なものの範囲に広く財物が含まれる場合
→『有償』を肯定する方向性
オ 地域通貨の例
エコマネー・タイムダラー・時間通貨など
種類・サービスの対象範囲などの内容のバラエティが広い
5 実費の負担のみ→有償ではない
形式的な金銭支払があるけれど『実費』のみというケースです。
<実費の負担のみ→有償ではない>
あ 基本的構造
次のいずれも満たす場合→『有償』ではない
ア 当該運送行為が行われない場合には発生しないことが明らかな費用である
同種の運送を行った場合には,運送目的・運送主体を問わず発生する費用に限る
イ 客観的・一義的に金銭的な水準を特定できるもの
い 該当するもの=有償ではない
ガソリン代・道路通行料・駐車場料金のみ
う 該当しないもの=有償である
人件費・車両償却費・保険料など
レンタカー料金の分担が,実費を超えたことになり有償の運送に該当することもあります。
詳しくはこちら|レンタカーの料金の分担と道路運送法違反(白タク)
なお,別の業法では,実費の受領でも有償性を認める基準があります。
これは,規制対象のサービスの形態による違いです。
詳しくはこちら|プラットフォーム/原サービス販売者の判定と実費の扱いの違い
6 公費負担=ユーザー負担なし→有償ではない
公費負担という理由でユーザーの負担ゼロというケースです。
<公費負担=ユーザー負担なし→有償ではない>
あ 基本的構造
ユーザーが対価を負担していない
例;市町村が公費で負担している
→有償ではない
い 有償ではない|典型例
運送サービスが市町村の事業である
市町村の保有する自動車を用いている
費用全額を市町村が負担している
7 施設利用者の無料送迎→有償ではない
他のサービスに付随して運送をしてくれるというケースです。
<施設利用者の無料送迎→有償ではない>
あ 基本的構造
次のいずれにも該当する場合
→有償ではない
い 有償に該当しない|要件
ア 付随サービス
メインサービスに付随して『運送』サービスがある
イ 反対給付特定不可
反対給付が特定されない
=運送の対価という意味である
う 有償ではない|典型例
事業者がメインサービスのユーザーを運送する
例;デイサービス・授産・宿泊など
施設ユーザーの通所・送迎
ユーザーから送迎コストの徴収をしない
え 有償になる|典型例
ア 第三者が運送費用を負担しているイ 送迎利用者と利用しない顧客の間に料金の差がある
例;送迎料金の加算がある
ウ 送迎利用者と利用しない顧客の間にサービス内容の差がある
例;送迎なしの顧客には一定の特典を提供する
みんなのUBERでこの部分が問題となった模様です。
具体的には,上記の最後の『第三者が費用負担』に該当する可能性があるでしょう。
詳しくはこちら|みんなのUBER事件における『有償』該当性の考察
8 ユーザー所有車による運送→有償ではない
使う自動車がユーザーの所有物であるというケースです。
<ユーザー所有車による運送→有償ではない>
あ 基本的構造
ユーザーの所有する自動車を用いる場合
→料金は『運転という業務』の対価である
→『運送の対価』ではない
→有償ではない
い 注意|他の法規制
次の規制対象サービスに該当する可能性がある
ア 自動車運転代行業
詳しくはこちら|自動車運転代行業の規制(自動車運転代行業適正化法)
イ 人材派遣業