【シェアリングの契約形態バラエティ|賃貸借・組合・共済会・法人・信託受益権化】
1 シェアリングの契約形態|独立性あり|賃貸借・使用貸借
2 シェアリングの契約形態|独立性不完全|会員制など
3 シェアリングの契約形態|組合・共済会方式のバラエティ
4 組合方式|財産の帰属=合有=共有の1形態
5 法人・組合方式|財産出資形態=金銭or現物出資
6 シェアリング×信託受益権化|『利用権利』を『受益権』にする
本記事ではシェアリング・マッチングサービスの各種の契約形態の内容を説明します。
契約形態と『法規制』との関係は別記事で説明しています。
詳しくはこちら|シェアリング×会員制・組合方式|法規制の対象・該当性|基準=独立性
1 シェアリングの契約形態|独立性あり|賃貸借・使用貸借
シェアリングの『形態』のうち『独立性がある』典型的なものをまとめます。
<シェアリングの契約形態|独立性あり>
あ 賃貸借
ア ユーザー同士の賃貸借イ サブリース方式 事業者が一括で借り受ける
い 使用貸借・寄託契約
2 シェアリングの契約形態|独立性不完全|会員制など
シェアリングの『形態』のうち『独立性が完全ではない』ものをまとめます。
<シェアリングの契約形態|独立性不完全>
あ 共有
※民法249条〜
い 組合
財産を組合員で『合有(共有)』する(※1)
『組合』の種類=民法組合・匿名組合
※民法667条〜,商法535条〜
う 法人
財産を『法人が所有』する
ユーザーは『株主』となる
え 信託受益権化
財産を利用する権利を『信託受益権』とする
『信託受益権』を複数名=『受益者』=ユーザーが持つ
お 共同使用(参考)
『共同使用』という用語がある
例;自動車の『共同使用』の規定(平成18年に廃止された)
詳しくはこちら|自家用自動車の共同使用許可の廃止(平成18年改正の経緯)
この名称自体に法律上の定義はない
→実態によって独立性の有無が判断される
それぞれの内容については,順に説明します。
3 シェアリングの契約形態|組合・共済会方式のバラエティ
シェアリングサービス事業の構築の際『組合方式』を検討するケースも多いです。
前提として用語的な誤解が生じやすいです。
ビジネスモデル構築や会員規約作成において誤解のないよう注意すると良いです。
<『組合』という用語の注意|バラエティ>
あ 『共済組合』
正式な用語 | 公務員・教職員を対象とする組織 |
俗称 | メンバー限定の福利厚生などのサービス→『共済会』 |
い 『共済会』
一般的に福利厚生としてのサービスを提供する組織
4 組合方式|財産の帰属=合有=共有の1形態
組合方式の場合における財産の『所有』形態についてまとめておきます。
<組合の財産の帰属=合有の性質論(上記※1)>
民法上の『共有』である
『共有』の中の分類としては『合有』である
※民法668条
※最高裁昭和33年7月22日
5 法人・組合方式|財産出資形態=金銭or現物出資
法人・組合方式における『構成員=株主・組合員』の財産の拠出方法をまとめます。
<法人・組合|構成員の出資『負担』の形態>
あ 金銭
い 現物出資
使用する財産自体を個人から法人に移転する
う 労務
株式会社では『労務による出資』はできない
※民法667条2項
6 シェアリング×信託受益権化|『利用権利』を『受益権』にする
財産を利用する権利を『信託受益権』にする,という方法があります。
<シェアリング×信託受益権化>
あ 信託契約・所有関係
運営事業者とユーザーは『信託契約』を締結する
財産の『所有権』は『運営事業者=受託者』に帰属する
ユーザーは『信託受益権』を購入する
い 『信託受益権』の内容
『対象財産=信託財産』を一定の範囲で利用できる(権利)
う 解釈論
ユーザーが利用する権限は『信託受益権の実行』である
『賃貸借契約』に基づくわけではない
解釈として『賃貸借には該当しない』方向性となるスキームです。
信託を利用する方法としては『売買』に組み込む方法の方がメジャーです。
詳しくはこちら|不動産を信託受益権化した売買によるコスト削減
上記方法は信託を『賃貸の代用』として活用するものです。