【ロボット開発・SCHAFTを逃した霞が関|DARPA支援+Google買収|哀愁のドラマ】

1 『テクノロジー』はあるけど『経営』不足|実例=SCHAFTドラマ
2 SCHAFT×ロボット開発|哀愁のドラマ
3 SCHAFT|日本での資金要請活動の結果→見る目なし
4 SCHAFT×官製投資ファンド|木を見て森を見ず
5 SCHAFT×行政(中央官庁)|『介護用』とか的外れコメント
6 実際のマーケット→ヒューマノイドのニーズは拡がる
7 SCHAFT×U.S.A.|ベンチャーが育ち,役立つテクノロジーに昇華する
8 日米鳥瞰|SCHAFTのドラマ|哀愁ただよう
9 加藤崇氏→ベンチャー・将来を担う若者へのコメント

1 『テクノロジー』はあるけど『経営』不足|実例=SCHAFTドラマ

経済発展のためには『テクノロジー』と『経営』の両方が必要,というのが重要です。
詳しくはこちら|産業誕生・経済発展の方程式|日本の環境=『プロの経営者』以外は揃っている
これに関して『テクノロジー』はあるけれど『経営』不足になったケースを紹介します。
哀愁のドラマでした。
その背景に日本の特徴・改善点が見えてきます。

2 SCHAFT×ロボット開発|哀愁のドラマ

ロボット(ヒューマノイド)の開発を行なっているSCHAFT社のドラマを紹介します。

<SCHAFT(シャフト)×ロボット開発>

あ SCHAFTのメンバー・事業

設立年=平成25年
元東京大学の助教授2人が中心となって立ち上げた
ロボット(ヒューマノイド)を開発していた

い 開発資金調達活動

開発資金を調達する必要が生じた
資金の支援を求めることになった
※加藤崇氏;参考情報は末尾記載

資金調達のシーンでドラマが展開します。

3 SCHAFT|日本での資金要請活動の結果→見る目なし

SCHAFTは最初に『身近なところ』に支援を要請します。

<日本での活動結果>

あ 支援要請先

日本の官製投資ファンド
行政(中央官庁)

い 結果

投資・支援しなかった
※加藤崇氏;参考情報は末尾記載

結局,日本の官製ファンド・中央官庁は『拒否』してしまいました。
どのような経緯・理由で拒否したのか,次に説明します。

4 SCHAFT×官製投資ファンド|木を見て森を見ず

官製投資ファンドがSCHAFTの支援を拒否した経緯をまとめます。

<官製投資ファンドの対応>

あ 謳い文句

テクノロジーによるイノベーション

い 個別的対応

『ロボティクスに関しては,過去,中央官庁でも色々と議論をして,レポートにもまとめられている。
ヒト型に市場は無いという結論だ。(※1)
うちもファンドとしてリターンを出さなければならない以上,出資は難しい』

う 加藤崇氏のコメント

『一兆円持っている官製ファンドが,日本が世界に誇る数少ない技術分野に対して,なぜ三億円を投資できなかったのか,今でも判然としません』
※加藤崇氏;参考情報は末尾記載

5 SCHAFT×行政(中央官庁)|『介護用』とか的外れコメント

中央官庁もSCHAFTの支援を拒否します。

<行政(中央官庁)の対応>

あ 個別的対応

『あなたたちのようなヒト型ロボットを支援する枠組みは今のところ行政に無い(略)
前年に策定された介護用のロボットに対する補助金を申請してみてはどうか』

い 加藤崇氏のコメント

『脱力しました』
『このまま日本にいたらダメだ,と踏ん切りがついたのです』
※加藤崇氏;参考情報は末尾記載

『介護用のロボット』というマーケットはSCHAFTが想定している規模とは大きく異なります。
落胆の程度はすさまじいものだっとと思われます。

6 実際のマーケット→ヒューマノイドのニーズは拡がる

官製ファンドは『ヒューマノイドのマーケットは小さい』と判断しました(前述)。
これが『的外れ』であったことは後から明らかになります。

<ヒューマノイドのマーケットの拡がり(上記※1)>

あ DARPA(米国国防総省高等研究計画局)の判断

ヒューマノイドを技術開発の重点開拓テーマとすることを発表した
補助金支給対象のプロジェクトを募集した
→SHAFTは応募→審査をパス→補助金支給を受けた

い 災害救助での実用に向けた動き

DARPAなどがロボコン(ロボットコンテスト)を開催している(後述)
→実用化に向けた動きが実際に進んでいる
※加藤崇氏;参考情報は末尾記載

7 SCHAFT×U.S.A.|ベンチャーが育ち,役立つテクノロジーに昇華する

SCHAFTは,日本で支援を受けられませんでした。
最終的に支援したのはU.S.A.に所在する会社・機関でした。

<SCHAFT|U.S.A.での活動結果>

あ 補助金

米国防総省国防高等研究計画局(DARPA)が補助金を支給した

い 買収

Googleが買収した
※加藤崇氏;参考情報は末尾記載

SCHAFTは,日本で,ではなく,U.S.A.で発展・活躍しています。

<U.S.A.における成長・発展>

あ 十分な資金での開発

SCHAFT(Google)は,ヒューマノイド(ロボット)の開発を進めた

い 災害救助ロボットコンテスト|優勝

災害救助ロボットコンテストで優勝した
主催=DARPA(米国防総省国防高等研究計画局)
※加藤崇氏;参考情報は末尾記載

外部サイト|YouTube|SCHAFT : DARPA Robotics Challenge 8 Tasks Special Walking

8 日米鳥瞰|SCHAFTのドラマ|哀愁ただよう

以上のようなSCHAFTの現実のドラマの全体を俯瞰的にまとめます。

<SCHAFTドラマ・日米を鳥瞰>

日本では相手にされなかったロボットベンチャー
→海外の巨大資本を受け,大きく飛躍した

9 加藤崇氏→ベンチャー・将来を担う若者へのコメント

以上のように,日本では新テクノロジー・産業化のハードルが高いのです。
テクノロジーを開発し,社会に提供する者にとっては『芽を摘む』状態です。
哀愁でいっぱいです。
夢を持つ若者に対する,加藤崇氏の経験に基づいた切実なコメントを紹介します。

<加藤崇氏→将来を担う若者へのコメント>

あ 加藤崇氏の立場

早稲田大学理工学部 応用物理学科卒業
株式会社SCHAFT共同創業者・元取締役CFO

い テクノロジー発展を願う呼びかけ

『シャフトでの経験から,若者に言いたい』
『世界で戦える技術があるなら,早く日本を出ろ』
『今や誰にも負けない技術があれば,日本よりも世界の方が戦いやすい。
日本なら成功の確率が千に三ぐらいしかないものでも,
アメリカやヨーロッパに行けば,10倍,100倍の人たちが成功すると思います。
外のルールは,内のルールと比べて,才能のある人に有利にできている。
これまでは日本で成功したら海外へ,と考えるのが普通でしたが,
これからは世界で勝てば,日本でも勝てるという時代になるでしょう。
無限の可能性を秘めた技術が日本にはまだたくさん眠っています。』
※加藤崇氏;参考情報は末尾記載

外部サイト|文藝春秋|イノベーションの最前線・東大発ベンチャー・シャフト元CFO激白・世界一の国産ロボットはなぜグーグルに買われたのか

外部サイト|株式会社加藤崇事務所

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