【ビックデータについての日本の法規制(米国のデータブローカーの日本上陸)】
1 U.S.A.|データブローカー|サービス内容
2 U.S.A.|データブローカー|マーケット規模
3 データブローカー×日本上陸|法規制
4 データブローカー×『匿名加工情報』
5 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
1 U.S.A.|データブローカー|サービス内容
米国では『データブローカー』のサービスが普及しています。
<U.S.A.|データブローカー|サービス内容>
あ 情報の取得
消費者に関わる情報を取得する
公開・非公開に関わらず,さまざまな情報元から取得する
い プロファイリング・スコア化
情報を分類・整理し使える状態にする
データを点数化する→個人をランク付けする
例;採用活動・個人の信用評価など
う 販売
情報を販売する
え 情報の種類|例
ア クレジットカード・EC利用履歴
例;外食の利用
アダルトグッズの購入履歴→性癖を推測
イ ウェアラブルデバイスの情報
例;走行距離・心拍数のデータ
2 U.S.A.|データブローカー|マーケット規模
米国でのデータブローカーのマーケット規模は急速に拡大しています。
<U.S.A.|データブローカー|マーケット規模>
あ 2014年・推計値
約285USドル
外部サイト|Forbes
い 拡大予想
2000億ドル=約24兆円
※『週刊ダイヤモンド15年4月25日』p51
う 事業者単体の保有情報数
数億〜約7億人分
『のべ』人数ではなく『実数』である
3 データブローカー×日本上陸|法規制
米国のデータブローカーは日本にも上陸し始めています。
日本の現行法との関係についてまとめます。
<データブローカー×日本上陸|法規制>
あ 日本上陸
日本でも広告代理店が利用を始めている
※『週刊ダイヤモンド15年4月25日』p51
い ネガティブ感情
本人が知らないところで差別される不安感がある
う 日本の法規制
個人情報保護法の規制対象である
え 法規制×問題点
ア 『個人情報』の定義が曖昧であるイ 『匿名加工』により『個人情報』から除外される
4 データブローカー×『匿名加工情報』
通常,データブローカーは『情報を匿名化』しています。
これにより『個人情報』としての規制対象外となります。
<データブローカー×『匿名加工情報』>
あ 匿名加工情報
情報の中から『氏名・住所』などの一部を削除したもの
他の情報との照合が『容易ではない』場合
→『個人情報』には該当しない
い 判断の曖昧性
照合が『容易か否か』という判断
→明瞭に判別できないこともある
う 他の事情次第で『照合可能』となる
多くの『匿名加工情報』が流通した場合
→組み合わせにより『個人の識別・特定』が実現する可能性がある
=『名寄せ』と呼ぶ
え マイナンバー制導入との関係
『マイナンバー制』の導入+『情報漏洩』があった場合
→『名寄せ』がより容易になる
この判断は『個人情報』の定義が前提となります。
別の記事で詳しく説明しています。
詳しくはこちら|『個人情報』の定義(個人識別符号・容易照合性の意味)と具体例
5 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
政府では,法整備の方向性について検討が進められています。
<高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部>
あ 政府の対応
データブローカー・ビッグデータの普及
→法整備についての問題点が浮上している(前記)
→内閣に,法制度改正の方向性を検討する機関が設置された
い 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
法制度改正の方向性について調査→公表している
『パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱』
公表日=平成26年6月24日
外部サイト|首相官邸|パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱
これをベースとして個人情報保護法は改正が予定されています。
ただし,これらの問題点に直接的に切り込むものではないという批判もなされています。
本記事では,ビッグデータに関する日本の法規制について説明しました。
実際に,多くの個人に関する情報を扱うサービスについては,多くの面から適法性を確保することは当然として,情報が表す個人(本人)に迷惑がかからないように,しっかりとした情報の管理方法を設計する必要があります。
実際に個人情報の扱いに関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。