【下請法|内容|対象取引・親事業者の義務・禁止行為・調査・罰則】
1 下請法・対象取引|『大』カテゴリ|業務・資本金の範囲
2 下請法・対象取引|『小』カテゴリ|業務・資本金の範囲
3 下請法|親事業者の義務|書類交付・作成・保存・支払期限
4 下請法|親事業者の禁止行為|不当行為
5 下請法|親事業者の禁止行為|利益侵害
6 公的機関×検査・報告|公正取引委員会・中小企業庁・監督官庁
7 下請法|罰則|書面に関する違反・調査への対応不備
1 下請法・対象取引|『大』カテゴリ|業務・資本金の範囲
下請法の適用対象取引は2種類に分けられて明確に規定されています。
まずは規模が大きめの業務についての『対象業務』をまとめます。
<下請法・対象取引|『大』カテゴリ>
あ 業務カテゴリ『大』
次の業務の委託
ア 物品の製造・修理イ プログラム作成ウ 運送・物品の倉庫保管・情報処理
い 事業者の『資本金』規模
各事業者の『資本金』が次のいずれかの『クロス』に該当するもの
種類→ | 3億円クロス | 1000万円クロス |
親事業者 | 3億円超 | 1000万円超 |
下請事業者 | 3億円以下 | 1000万円以下 |
※下請法2条7項
※下請法施行令1条
2 下請法・対象取引|『小』カテゴリ|業務・資本金の範囲
下請法の対象取引のうち小さめのものの規定をまとめます。
<下請法・対象取引|『小』カテゴリ>
あ 事業カテゴリ『小』
『大カテゴリ』以外の業務
い 事業者の『資本金』規模
各事業者の『資本金』が次のいずれかの『クロス』に該当するもの
種類→ | 5000万円クロス | 1000万円クロス |
親事業者 | 5000万円超 | 1000万円超 |
下請事業者 | 5000万円以下 | 1000万円以下 |
※下請法2条8項
※下請法施行令1条
3 下請法|親事業者の義務|書類交付・作成・保存・支払期限
下請法の対象取引については,親事業者に一定の義務が課せられています。
契約締結時の書面,代金・利息の支払いに関する細かい義務をまとめます。
<下請法|親事業者の義務>
あ 書面交付義務
発注時に親事業者は下請事業者に一定の書面を交付する
取引内容について明確に記載されている書面
『3条書面』と呼ぶこともある
※下請法3条
い 書類作成・保存義務
取引の内容のうち一定の項目について,記録する+2年間保存する
『5条書面』と呼ぶこともある
※下請法5条
う 下請代金の支払期日の範囲
『支払期日』の設定の上限
=物品受領or役務提供の時点より60日
※下請法2条の2
え 遅延利息の支払義務
『支払期限』から遅滞した場合
=年率14.6%の遅延損害金が発生する
※下請法4条の2
4 下請法|親事業者の禁止行為|不当行為
下請法では,対象取引について,強い立場を利用した不当行為が禁止されています。
<下請法|親事業者の禁止行為|不当行為>
あ 受領拒否の禁止;1項1号
注文した物品などの受領を拒むこと
い 下請代金の支払遅延の禁止;1項2号
下請代金を支払期日までに支払わないこと
う 下請代金の減額の禁止;1項3号
当初定めた下請代金額を減額すること
え 返品の禁止;1項4号
受領した商品を返品すること
お 買いたたきの禁止;1項5号
著しく低い下請代金額を定めること
基準=同種・類似業務の価格・市価
か 購入・利用強制の禁止;1項6号
親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させること
き 報復措置の禁止;1項7号
親事業者が不公正な行為を行った
→下請事業者が公正取引委員会or中小企業庁に知らせた
→これを理由として下請事業者に対して不利益な扱いをすること
例;取引数量の削減・取引停止など
5 下請法|親事業者の禁止行為|利益侵害
下請法では,対象取引のうち一定の『利益侵害』につながる行為が禁止されています。
<下請法|親事業者の禁止行為|利益侵害>
あ 原材料対価の早期決裁の禁止;2項1号
親事業者が原材料などのを有償で下請事業者に支給した
→原材料の対価の決裁時期が下請業務の支払期日よりも早いこと
決裁=実際の支払or相殺
い 割引困難な手形の交付の禁止;2項2号
現金化が困難な手形を交付すること
例;一般の金融機関で割引を受けることが困難である
う 不当な経済上の利益の提供要請の禁止;2項3号
下請事業者から金銭・労務の提供などをさせること
え 不当な給付内容の変更・不当なやり直し;2項4号
費用を負担せずに注文内容を変更すること
代金受領後にやり直しをさせること
※下請法4条
6 公的機関×検査・報告|公正取引委員会・中小企業庁・監督官庁
下請法の規制に関して,公的機関が調査する制度が規定されています。
<公正取引委員会|検査・報告>
あ 調査機関
ア 公正取引委員会イ 中小企業庁ウ 事業の監督行政庁 親事業者or下請事業者の事業を所管する主務大臣
い 調査対象
親事業者or下請事業者のいずれも対象となる
う 調査権限
ア 取引に関する報告をさせることイ 事務所・事業所への立入検査をする
帳簿書類などの内容を確認・把握するなど
※下請法9条
7 下請法|罰則|書面に関する違反・調査への対応不備
下請法では一定の違反・不当行為について罰則が規定されています。
<下請法|罰則>
あ 書面の交付・作成・保存義務違反
ア 違反行為
・発注時の書面交付義務違反
・書類作成・保存義務違反
虚偽の書類・記録の作成も含む
イ 罰則|法定刑
罰金50万円以下
※下請法10条
い 調査への対応不備
ア 違反行為
公的機関の調査に応じないor虚偽の報告をすること
イ 罰則|法定刑
罰金50万円以下
※下請法11条
う 両罰規定
行為者個人と法人の両方に刑を課する
※下請法12条
下請法に直接抵触しない場合には『適法』となるとは限りません。
独占禁止法などの他の法令に反する可能性はあります。