【新テクノロジー×経営|事業化・実例|電気自動車・SHARPの液晶事業】
1 事業化の実例|電気自動車|日本|エリーカ
2 事業化の実例|電気自動車|U.S.A.|テスラモーターズ
3 ロボット開発・優良テクノロジーを逃した|SHAFT哀愁事件
4 SHARPの苦境|テクノロジーを活かしきれなかった『経営』
5 SHARPの苦境|中島聡氏の分析
1 事業化の実例|電気自動車|日本|エリーカ
本記事では新テクノロジーの事業化・産業化の『実例』についてまとめます。
事業化の代表的な例として『電気自動車』の開発が挙げられます。
まずは日本の状況についてまとめます。
<事業化の実例|電気自動車|日本|エリーカ>
あ 着想・テクノロジーは早い
2004年に試作車が製作された
形状=8輪・ガルウィング
い 法人設立
市販化に向けて法人が設立された
メイン=電気自動車の開発・製造 | SIM-Drive(シムドライブ) |
バッテリー開発・製造 | エリーパワー |
い 市販化へのハードル
現在(2015年),市販に結びついていない
外部サイト|Wikipedia|エリーカ
2 事業化の実例|電気自動車|U.S.A.|テスラモーターズ
電気自動車の開発については,米国の状況が対照的な参考となります。
<事業化の実例|電気自動車|U.S.A.|テスラモーターズ>
2004年にはまだ投資の初期段階であった
2008年にテスラ・ロードスターの市販が実現した
外部サイト|テスラモーターズジャパン|企業情報
3 ロボット開発・優良テクノロジーを逃した|SHAFT哀愁事件
ロボット開発テクノロジーについて,公的な支援が要請されることがありました。
実際には政府・官製ファンドが成長性を理解できず出資を行いませんでした。
最終的にGoogleに買収され,その後発展を遂げています。
この哀愁事件については別記事で説明しています。
詳しくはこちら|ロボット開発・SCHAFTを逃した霞が関|DARPA支援+Google買収|哀愁のドラマ
4 SHARPの苦境|テクノロジーを活かしきれなかった『経営』
『テクノロジーはあったが経営が不十分であった』というケースをもう1つ紹介します。
SHARPの液晶事業が非常に有名なケースです。
<SHARPの苦境|要因・概要 >
あ テクノロジー
液晶製造に関して高いテクノロジーを持っていた
い 『経営』面で判断の最適化が実現しなかった
ア 事業スタート段階
投資・事業開始→妥当性は十分にあった
イ 撤退段階
撤退・鴻海との資本提携プロセス→妥当性は不十分であった
※中島聡氏;後記引用
5 SHARPの苦境|中島聡氏の分析
SHARPの液晶事業に関しては多くの分析・指摘がなされています。
中島聡氏が分かりやすいコメントをされています。
<SHARPの苦境|中島聡氏の分析|引用>
シャープのケースは、元凶は社運を賭けた液晶ビジネスへの大規模な投資が裏目に出た点にあります。
あの段階で液晶に賭けたこと自体は方向性としては決して間違いではなかったので、問題は資金調達やリスク配分の仕方など、どちらかというと財務や(在庫管理を含む)オペレーション側の問題だったのだと私は解釈しています。
今の苦境は、2012年の鴻海との資本提携を実現できなかったことに起因しており、事業売却や吸収合併により今の形のシャープという会社がなくなることは確実だと思います。
※中島聡氏『週刊Life is Beautiful2015年5月26日号』
テクノロジーを活かすのは『産業誕生』の段階だけではありません。
『撤退』の段階でも同様です。
特に,レガシーメーカーでは多くのエンジニアを抱えます。
貴重な『経営リソース』を活かせるかどうかが多くの経営判断で運命付けられます。
過去の事例を今後に活かすのが歴史を学ぶ価値・意義だと思います。
いくつかの哀愁のケースは決して無駄ではないと思われます。