【紹介料相場・広告規制|保険サイト・結婚相談所・不動産仲介】
1 マーケットにおける『紹介・プロモーション』の必要性
2 紹介料・仲介手数料の相場|まとめ
3 経済活動の自由×紹介料・広告の規制
4 生命保険サイト×『紹介手数料・インセンティブ』
5 結婚相談所・紹介業×『成婚料』
6 不動産仲介業×『仲介手数料』
1 マーケットにおける『紹介・プロモーション』の必要性
多くの事業では,広告や紹介で顧客・取引を獲得します。
経済的に『取引先・利益の獲得』に対する対価があります。
そこでバランス・公平を保つために紹介料が支払われる状況がよく生じます。
<紹介の経済的利益=対価=紹介料|具体例>
あ 個別的『紹介』の対価
ア 不動産仲介
顧客情報自体の価値の割合が非常に大きい(後述)
イ 結婚相談所・紹介業
『結婚債権取引の仲介』という性格を持つが『金融商品取引』には該当しない(後述)
ウ 一般的な『取引先候補者』の紹介
い 大衆(マス)への情報伝達・販売促進の対価
広告・プロモーション・マスマーケティング
実際に多くの事業が『プロモーション・紹介』として社会に役立つサービスを提供しているのです。
2 紹介料・仲介手数料の相場|まとめ
<紹介料・仲介手数料の相場>
種類 | 紹介料・仲介手数料の相場 |
不動産売買 | 売買代金の3%+6万円 |
不動産賃貸 | 賃料月額1か月分 |
生命保険 | 1件3〜4万円(※2) |
結婚相談所・紹介業 | (女性は)相手男性の年収の3〜10%程度(※1) |
3 経済活動の自由×紹介料・広告の規制
原則論としては,紹介料・広告は『自由』とされます。
<経済活動の自由×紹介料・広告の規制>
あ 経済活動の自由
民間の経済活動には原則的に政府は介入しない
※経済活動の自由;憲法29条,22条1項
い 趣旨
いわゆる『計画経済』を否定する
近代社会の基本方針である
マーケットメカニズムによる商品・サービスの最適化の機能につながる
う 経済活動の内容
サービス・商品の開発・販売はいずれも『経済活動』である
→紹介料・広告は原則的に自由である
ただし例外的に制限されることもある(後述)
現実には例外的な『法規制』が数多くあります。
許認可業・資格業の広告・紹介の規制について別記事で説明しています。
詳しくはこちら|資格業・士業|紹介料・広告の規制・受任義務・公定価格
4 生命保険サイト×『紹介手数料・インセンティブ』
生命保険の『紹介手数料・紹介料』は法規制との抵触があり得ます(上記※2)。
このような対価支払やほかの事情によって『保険募集人』に該当する可能性があります。
保険募集人に該当する場合,登録が必要であり,また多くのルールが適用されます。
保険のセールスや保険商品を紹介するサイト運営は法規制の対象となることがあるのです。
平成28年度から,改正保険業法が施行される予定です。
規制内容も変更されます。
これについては別記事で説明しています。
(別記事『保険販売・法規制・基本』;リンクは末尾に表示)
5 結婚相談所・紹介業×『成婚料』
結婚の候補者との『出会い』を提供するサービスです。
当然,メインサービスの対価として様々な料金体系が工夫して作られています(上記※1)。
入会時,面会時,結婚に成功した時,などの課金タイミングの設定が組み合わせられているのが通常です。
特に成功報酬部分は『成約料』というネーミングのことも多いです。
『成婚料』のうち女性側は『相手男性の年収の3〜10%』という設定が多くみられます。
これは,実質的な『経済的な利益(債権)獲得』という金融商品取引という側面の意識の現れです。
詳しくはこちら|収入大→離婚時の清算が大きくなる;婚費地獄,結婚債権評価額算定式
しかし,『結婚が金融商品取引(業)』に該当する,という法的見解は現時点では有力ではありません。
むしろ,『結婚への執着』という意味で『宗教』に位置付けるという新たな見解も登場しています。
いずれにしても,現時点では,許認可その他の業務自体についての法規制はありません。
6 不動産仲介業×『仲介手数料』
不動産仲介については,資格制という法規制があります。
一方,裁判所も認める『特殊性』がありますので説明します。
不動産仲介業という業務の価値を考えた時,『顧客の情報』の価値がその大部分を占めます。
特に,売買において,規模が大きい場合は,提供する価値は,ほぼ『顧客の情報提供だけ』と言えます。
この点『顧客情報の提供を受けた後に,仲介抜きで売買契約締結』という『抜き行為』がたまに問題になります。
この場合,裁判所は『顧客情報の対価』として『実質的な仲介手数料』の請求を認めています。
『顧客の情報提供』に価値の大半がある,という特殊性を裁判所も認めているのです。
詳しくはこちら|不動産売買の仲介抜き行為の責任(みなし報酬・損害賠償)
なお,仲介手数料は『双方代理』と関連して制度自体が大きな問題を抱えています。
詳しくはこちら|仲介の不正|全体|囲い込み|手数料上限張り付き|両手の誘惑
詳しくはこちら|仲介の不正|囲い込み以外|干す+値こなし|コンサル料|買いカード捏造