【責任制限・上限規定×有効性|ポートピアホテル事件】

1 責任制限規定×有効性|判例|事案
2 責任制限規定×有効性|判例|原審・控訴審
3 宿泊約款|賠償制限規定
4 責任制限規定×有効性|解釈論

1 責任制限規定×有効性|判例|事案

事業者の過剰なリスクを排除することは必要です。
そこで一般的に規約・約款においていろいろな工夫・配慮がなされています。
事業者の責任を制限する規定の有効性が判断された判例を紹介します。
まずは事案をまとめます。

<責任制限規定×有効性|判例|事案>

宿泊客が手荷物をホテルのフロントに預けた
内容物は宝飾品であった
評価額=約2846万円
手荷物が何者かによって盗まれた
※最高裁平成15年2月28日神戸ポートピアホテル預かり品盗難事件

2 責任制限規定×有効性|判例|原審・控訴審

上記の最高裁判例における原審・控訴審の判断をまとめます。

<責任制限規定×有効性|判例|原審・控訴審>

あ 原審の判断

宿泊約款の賠償制限規定(※1)が適用される
賠償額を15万円だけ認めた

い 最高裁の判断

『重過失』の場合は賠償制限規定は適用されない(※2)
→原審に差し戻した

う 差戻後の経過

和解が成立した
※最高裁平成15年2月28日神戸ポートピアホテル預かり品盗難事件

3 宿泊約款|賠償制限規定

この事案におけるホテルの宿泊約款を紹介します。

<宿泊約款|賠償制限規定(上記※1)>

宿泊客がホテル内に持ち込んだ物品・現金・貴重品について
ホテルの故意又は過失により滅失・毀損等の損害が生じたとき
ホテルは,その損害を賠償する
賠償額は,15万円を限度とする
宿泊客が予め種類及び価額の明告があった場合は上限は適用されない
※最高裁平成15年2月28日神戸ポートピアホテル預かり品盗難事件

4 責任制限規定×有効性|解釈論

最高裁での責任制限規定の有効性判断をまとめます。

<責任制限規定×有効性|解釈論(上記※2)>

ホテル側に重過失がある場合に免責されるのは公平を害する
当事者の通常の意思に合致しない
→『故意・重過失』がある時には適用されない
※最高裁平成15年2月28日神戸ポートピアホテル預かり品盗難事件

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