【旅館業法|宿泊者名簿|管理義務・通達|パスポート提示・警察への開示】
1 旅館業法|宿泊者名簿管理義務
2 宿泊者名簿・記載徹底|通達
3 宿泊者名簿通達|全体
4 指導事項|宿泊者名簿への記載
5 指導事項|パスポート提示|基本
6 指導事項|パスポート提示|拒否対応
7 指導事項|警察への情報協力
8 ユーザー|身分情報開示義務
1 旅館業法|宿泊者名簿管理義務
旅館業の営業者はいくつかの行為規制を受けます。
詳しくはこちら|旅館業法|行為規制|施設利用基準・宿泊者名簿・利用拒否NG
その1つが『宿泊者名簿』の管理義務です。
内容をまとめます。
<旅館業法|宿泊者名簿管理義務>
あ 宿泊者名簿|義務内容
宿泊者名簿の設置・記載・提出義務
い 宿泊者名簿|記録事項
宿泊者の氏名・住所・職業など(※5)
う 提出義務
行政庁からの提出要求があった場合
→営業者は,提出する義務がある
※旅館業法6条1項
え 違反への罰則
法定刑=罰金5000円以下
※旅館業法11条1号
2 宿泊者名簿・記載徹底|通達
宿泊者名簿については通達で要請されているルールもあります。
まずは通達を紹介します。
<宿泊者名簿・記載徹底|通達>
あ タイトル・日付
旅館等における宿泊者名簿への記載等の徹底について
平成26年12月19日
健衛発1219第2号
厚生労働省健康局生活衛生課長
→本記事では『宿泊者名簿通達』と呼ぶ
い ソース
3 宿泊者名簿通達|全体
宿泊者名簿通達の全体的な内容をまとめます。
<宿泊者名簿通達|全体>
あ 厚生労働省→自治体|メッセージ
営業者に対して次の事項の周知・指導の徹底を行う
い 周知・指導事項
ア 宿泊者名簿
正確な記載を働きかける(※1)
イ パスポート提示
日本国内に住所を有しない外国人にパスポート提示を求める(※2)
ウ 警察への情報開示
宿泊者名簿の開示など(※3)
※宿泊者名簿通達
4 指導事項|宿泊者名簿への記載
指導事項の中の『宿泊者名簿への記載』についてまとめます。
<指導事項|宿泊者名簿への記載(上記※1)>
宿泊者に対し,正確な記載を働きかける
パスポートの写しの保管で代用できる
※宿泊者名簿通達
5 指導事項|パスポート提示|基本
指導事項の中に『パスポート提示』に関するものがあります。
まずは基本的事項を整理します。
<指導事項|パスポート提示|基本(上記※2)>
あ 前提事情
宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人である場合
→次の事項を要請する
い 宿泊者名簿・記載
宿泊者名簿の次の欄への記載を徹底する
ア 国籍欄イ 旅券番号欄
う パスポート提示
パスポートの提示を求める
え パスポート写し・保管
旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存する
6 指導事項|パスポート提示|拒否対応
パスポート提示については顧客が拒否することも考えられます。
その場合の対応についても,指導事項に含まれています。
<指導事項|パスポート提示|拒否対応>
あ 拒否対応|初期
宿泊者がパスポートの提示を拒否する場合
→国の指導であることを説明して提示を求める
い 拒否対応|最終
宿泊者が,さらに拒否する場合
→次のような適切な対応を行う
う 適切な対応|内容
旅券不携帯の可能性がある
→最寄りの警察署に連絡する
※宿泊者名簿通達
なお『身分情報を開示しない』ことは別の罰則の対象となります(※4)。
7 指導事項|警察への情報協力
指導事項の中には『警察官への協力』に関するものもあります。
<指導事項|警察への情報協力(上記※3)>
あ 情報開示
警察官の職務上,宿泊者名簿の閲覧請求があった場合
→職務の目的に必要な範囲で協力する
捜査関係事項照会書の交付の有無に関わらない
い 個人情報保護・過剰反応ケア
『あ』の開示の状況
→国の機関による法令の事務遂行への協力である
→個人情報保護法に違反しない
※個人情報保護法23条1項4号
※宿泊者名簿通達
8 ユーザー|身分情報開示義務
以上の説明は『宿泊サービス提供者』の負う義務でした。
一方で,ユーザーもこれに対応した一定の義務を負います。
<ユーザー|身分情報開示義務(上記※4)>
あ 前提事情=身分情報開示要求
営業者が宿泊者に身分情報の開示を請求した場合
い ユーザー|開示義務
宿泊者名簿記録事項について『告げる』必要がある(上記※5)
※旅館業法6条2項
う 違反への罰則
法定刑=拘留or科料
拘留=身柄拘束・1〜29日間
科料=金銭徴収・1000〜9999円
※旅館業法12条
詳しくはこちら|条例による規制の限界|法律との関係・抵触|徳島市公安条例事件