【サービス高度化・多様化→コンシェルジュサービス|政府の促進努力義務】
1 サービスの高度化・多様化|事業者の努力義務
2 サービスの高度化・多様化→促進|政府の努力義務
3 平成28年4月施行令改正|趣旨|概要
4 サービス高度化・多様化・現状|過剰法規制・緩和不十分
5 サービス高度化・多様化|コンシェルジュ×法規制|概要
6 コンシェルジュサービス×法規制|実務対応
1 サービスの高度化・多様化|事業者の努力義務
宿泊サービスは高度化・多様化が求められています。
旅館業法の条文としてもしっかり明記されています。
まずは『事業者の努力義務』を紹介します。
<サービスの高度化・多様化|事業者の努力義務>
あ 背景
国民生活において旅館業が重要な役割を果たしている
利用者の需要が高度化・多様化している
い 事業者の努力義務|安全・衛生水準
宿泊施設・サービスについて
安全・衛生の水準の維持・向上に努める義務がある
う 事業者の努力義務|サービス向上
宿泊施設の整備・サービスの向上に努める義務がある
※旅館業法3条の4
2 サービスの高度化・多様化→促進|政府の努力義務
政府は,サービスの高度化・多様化を促進する立場にあります。
このことは,政府の努力義務として条文に明記されています。
<サービスの高度化・多様化→促進|政府の努力義務>
あ 背景
利用者の需要が高度化・多様化している
い 目標
サービスの高度化・多様化を促進する
旅館業の健全な発達を図る
う 政府・自治体の努力義務
国・地方公共団体は次の措置の履行に努める
え 努力義務|内容
ア 必要な資金の確保イ 営業者への助言(※1)ウ 営業者への情報の提供 ※旅館業法9条の2
3 平成28年4月施行令改正|趣旨|概要
現在,宿泊サービスの規制緩和が進められています。
詳しくはこちら|旅館業法×規制緩和|全体・方針|緩和の方向性・アイデア|ゲリラ性
その一環として旅館業法施行令が改正されました。
通達の中で,改正の趣旨として『多様化』が指摘されています。
<平成28年4月施行令改正|趣旨|概要>
あ 改正内容|概要
『簡易宿所営業』の延床面積基準を緩和した
い 施行令改正の趣旨
宿泊に関する様々なニーズに応える
民泊の様々な利用形態に対応する
※平成28年3月30日施行令改正通達
※施行令改正・パブコメ・結果
詳しくはこちら|施行令改正・趣旨|違法状態の追認・公認|いろいろな方の見解
4 サービス高度化・多様化・現状|過剰法規制・緩和不十分
サービスの高度化・多様化は総論として推進する方針となっています(前述)。
しかし実際には『民泊適法化→普及』という緩和は不十分と言えます。
詳しくはこちら|民泊の旅館業営業許可取得のハードル
また『サービスの多様化』が法律で封じられているものも目立ちます(後述)。
むしろ自治体から『営業者への助言』(上記※1)が良い方向に働いてないと思えます。
各種通達・行政指導・口頭での要求で内容が不合理なものが残っているのです。
既存事業者の保護を無視できないことは分かります。
一方でユーザーのメリット・サービスを磨く事業者が害されている状況もあります。
グローバルな競争を意識した長期的視点での政策推進が必要だと思います。
次に,法規制がサービス高度化にブレーキをかけている問題を説明します。
5 サービス高度化・多様化|コンシェルジュ×法規制|概要
サービスの高度化として『コンシェルジュサービス』が期待されます。
しかし法規制がこれを止めているのです。
<サービス高度化・多様化|コンシェルジュ×法規制|概要>
あ 高度化・多様化→コンシェルジュサービス
宿泊サービスの『周辺』に顧客のニーズがある
いわゆるコンシェルジュサービスである
い コンシェルジュサービス|概要
ア チケット手配イ ガイド・案内
う コンシェルジュサービス×法規制|概要
コンシェルジュサービスは法規制の対象となっている
有料で各種サービスを提供することは規制されている
『有料/無料』の判断も厳格で難しいところがある(※2)
(別記事『ホテル・旅館×コンシェルジュサービス』;リンクは末尾に表示)
6 コンシェルジュサービス×法規制|実務対応
コンシェルジュサービスが法規制に抵触することは大きな問題です。
実務的な対応について現場の声を紹介します。
<コンシェルジュサービス×法規制|実務対応>
あ 法規制→適法化|前提
各法規制は『有料』サービスだけが対象となる
い 実務対応|無償化
『無償』で行う(※2)
=『マージンの上乗せ』ができない
=実質的なボランティア
う マーケット的効果
サービス内容の充実ができない
=『サービスを磨く自由』が奪われている
→各種コンテンツ・イベントとの連携ができない
え 参考情報|星野佳路氏コメント
星野リゾート代表
星野佳路氏
外部サイト|経営者ブログ・シェアリングエコノミーが地域と業界を変える
現在は『無償提供』とせざるを得ないサービスが多いのです。
なお,この『無償』も厳格に判断される傾向があります(上記※2)。
もともと,コンシェルジュサービスは宿泊サービスと密接に関わっています。
宿泊サービスの一環という位置付けが合理的だと思われます。
現行法はこの実態に整合していないと言えます。