【特区民泊|滞在期間設定10日の由来|検疫感染症・滞留期間の流用】
1 特区民泊|滞在期間制限7〜10日|設定の理由
2 厚生労働省|旅館業法の適用除外・特例|資料
3 特区民泊・滞在期間|想定・考慮事項
4 特区民泊・滞在期間の理由|基本
5 特区民泊・滞在期間|特定
6 検疫感染症×隔離・停留
7 感染者・停留|期間上限
1 特区民泊|滞在期間制限7〜10日|設定の理由
特区民泊では法律上滞在期間が『7〜10日』と制限されています。
(別記事『特区民泊|基本』;リンクは末尾に表示)
一般的な『宿泊サービス』としては異様に長い設定です。
この期間設定の理由がよく分からない,という指摘を多く聞きます。
本記事では,この期間設定の理由を説明します。
2 厚生労働省|旅館業法の適用除外・特例|資料
滞在期間の謎について説明している資料があります。
<厚生労働省|旅館業法の適用除外・特例|資料>
あ 本体|タイトル・日付
滞在施設の旅館業法の適用除外、歴史的建築物に関する旅館業法の特例について
平成26年1月21日
厚生労働省
い ソース
う 滞在期間関連|タイトル
外国人滞在施設経営事業の滞在期間について
『あ』の一部;2枚目
→本記事では『滞在期間説明資料』と呼ぶ
え 提出されたイベント
内閣府地方創生推進室
外部サイト|首相官邸|内閣府地方創生推進室
この説明の内容は次にまとめます。
3 特区民泊・滞在期間|想定・考慮事項
滞在期間制限の発想・考慮事項を整理します。
<特区民泊・滞在期間|想定・考慮事項>
あ 滞在期間制限|当時の想定
10日以上とすることを考えている
平成26年1月時点での想定である
立法時には『7〜10日以上』と定められた
い 考慮事項|例
公衆衛生
善良な風俗の保持
レガシーホテル・旅館との役割分担
※滞在期間説明資料
4 特区民泊・滞在期間の理由|基本
滞在期間の設定における考慮の基本的部分をまとめます。
<特区民泊・滞在期間の理由|基本>
あ 公衆衛生
滞在期間が長い
→定住性が強まる
→公衆衛生上のリスクが減る
い 周辺住民ケア
周辺住民が宿泊施設の立地に懸念を有する
→滞在期間が長いと受容しやすい
う 感染症対策
感染症対策との整合性
例;新型インフルエンザなど(※1)
え 役割分担
レガシーホテル・旅館との役割分担
→マーケットが衝突しないという意味
※滞在期間説明資料
5 特区民泊・滞在期間|特定
最終的に『日数』が具体化した理由をまとめます。
<特区民泊・滞在期間|特定>
あ 感染症対策の視点
新型インフルエンザの感染患者滞留期間(上記※1)
→10日間(※2)
い 調整
10日を軸に検討が進められた
→宿泊者の滞在日数としては長過ぎる
→『下限』を下げる方向性
→下限=7日間となった
6 検疫感染症×隔離・停留
『滞在期間』は『感染症患者の滞留』をベースに決められました(前記)。
そこで,感染症患者への措置のルールを紹介します。
<検疫感染症×隔離・停留>
あ 感染症患者×法的措置
検疫所長は感染症患者を隔離・停留させることができる
※検疫法14条1項1号,2号
い 停留期間|基本
感染症ごとの潜伏期間を考慮して定めた上限がある
※検疫法16条3項
停留期間の設定内容は次にまとめます。
7 感染者・停留|期間上限
停留期間の上限の設定内容を整理します。
<感染者・停留|期間上限(上記※2)>
感染症 | 上限 | 日・表示 |
エボラ出血熱・ラッサ熱 | 504時間 | 21日間 |
クリミア・コンゴ出血熱 | 216時間 | 9日間 |
痘そう | 408時間 | 17日間 |
南米出血熱 | 384時間 | 16日間 |
マールブルグ病・新型インフルエンザ感染症 | 240時間 | 10日間 |
※検疫法16条3項,施行令1条の3
新型インフルエンザは『上限10日』と規定されています。
これが『特区民泊の滞在期間』の設定で流用されたのです。