【宅建業法|『代理』定義・内容|媒介との違い】
1 販売『代理』業務の範囲|一般的
2 代理|媒介との違い
3 媒介or代理|ゴルフ場用地買収事件|判例
1 販売『代理』業務の範囲|一般的
宅建業法では『媒介』と『代理』の2つの形態が規定されています。
『代理』の定義・業務の範囲をまとめます。
<販売『代理』業務の範囲|一般的>
あ 基本
売主に『代わって』販売に向けた次の業務を行う
い 販売代理業務|内容
販売広告活動
営業活動
購入申込み受付
重要事項説明
売買契約締結
手付金・売買代金の受領
融資手続の取次
残代金請求
登記申請手続の司法書士への取次
引渡しまでの一連の業務
※岡本正治ほか『改訂版逐条解説宅地建物取引業法』大成出版社p67
2 代理|媒介との違い
代理と媒介の違いをまとめます。
<代理|媒介との違い>
あ 代理だけの特徴
意思決定権限がある
意思表示・その受領権限がある
全般的に判断の裁量が大きい
い 違い|効果
形態 | 双方受託 | 手数料上限 |
媒介 | できる | 3%+6万円(※1) |
代理 | できない | 媒介の2倍 |
双方から受託できるかどうかで違いがあります。
当事者の両方からの媒介受託は禁止されていません。
しかし,現実には大きな問題を抱えています。
詳しくはこちら|両手仲介・双方受託|メカニズム|矛盾発生・利益相反→裏切り
手数料上限は『代理』が『媒介』の2倍となっています。
上記※1は対象取引が『売買』の場合の一般的な規定です。
手数料上限の差が原因となって媒介・代理の判定が争われた判例があります。
次に紹介します。
3 媒介or代理|ゴルフ場用地買収事件|判例
媒介か代理か,という判定で見解が対立した判例があります。
<媒介or代理|ゴルフ場用地買収事件|判例>
あ 土地買収の依頼
ゴルフ場経営会社A
宅建業者B
AがBにゴルフ場用地買収を頼んだ
明確な契約をしていなかった
い 買主の立場で行動
Bは売主と対立する立場で買収業務を行っていた
売買契約が成立しても
→Bは売主から報酬の支払を受ける状態ではなかった
う 取引に関する判断・裁量
AはBに,およその買付単価その他契約の大綱を指示した
しかし,個々の買付けの業務の大部分は一任していた
Bは相当の範囲の裁量権を持っていた
AはBに買受けの意思表示をする権限も与えていた
え 調印・代金授受
土地所有者との間の売買契約書の調印・代金の支払
→Aの立会なしでBだけで遂行することが多かった
お 裁判所の判断|契約形態
『媒介』ではない
『代理』である
か 裁判所の判断|結論
手数料は売買代金の5%とする
※東京高裁昭和55年12月19日